本かつお
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●なぜ気になったか
NHKのプロフェッショナルでみた庵野秀明監督、気難しそうで付き合うには疲れること多そう、という印象。そんな人と夫婦で居続けられている著者が語ることにとても興味がわく
●読了感想
本文に抱腹絶倒、締めの監督インタビューとあとがきに感動。傍若部無人イメージの監督は実は思いやり深い人と考えを改められたし、夫婦の化学反応で監督が長生きしたくなったというくだりには目頭が熱くなった
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- (とても好き嫌いがある義理の母のために)、仕方ないのでお給仕の人呼び「すみません、このカルパッチョを焼いてください」と頼んだ。これが身内だけで有名な「カルパッチョ焼かせ事件」である
- 私のペンネームの「安野」は、この方(画家の安野光雅先生)から拝借した。(中略)、時々見かける誤情報で、私は庵野監督のファンだったからペンネームを安野にしたと言うのがあるんだけど、正直言ってその頃私は監督のことを知らなかった
- 監督は夢中になってしまうと他のことが全く見えなくなるたちだ。なので仕事が佳境に入ると生活面では完全に上の空である。(中略)、無自覚奇行からの適当言い訳コンボは妙に信憑性が高くなるので要注意だ
- 私がとにかくずっと心に決めていたのは何を置いても監督の健康を守ると言うことだった。創作活動というのはどんなに周りに人がいたとてその核の部分は自分1人でやるしかない。(中略)漫画家なのでそこは自分も痛いほど知っている
- 監督は眠っている 時の姿が変わっていて、浜辺に打ち上げられた棒みたいに一本になって寝ている
- (監督がなくした)ベルトの行方がわかった。足が汚れて仕事場の風呂場で洗った際ズボンを脱いだのでそのまま置き忘れてたということだった。どこかよそにベルトを忘れてくるなんて普通なら浮気以外に考えられないのだが、1つのものが壊れるまでは使い続ける習性があるのでおそらく大丈夫だろうと思っている
- (監督の運転で)最初の頃すごく怖かったのが、車線変更が面倒なのか、いつでもどっちにでも寄れるようにしたいのか理由は不明なのだが、2車線ある場合その真ん中を走ることだった
- (監督が温泉スパで誰もいない時にウルトラマンごっこをするのを見て)、最初はドン引きしたし、なんなら結婚を後悔したものだが、慣れてくると「今日も元気でよかったね」という気持ち(になる)
- 結婚式のときに来てくださった宮崎駿監督がいかに庵野が風呂に入らないか、という話だけを延々とスピーチして花嫁の私は穴があったら入りたい気持ちで聞いていたのを今でもたまに思い出す
- (監督は)洋服もボロくなるまでずっと着て、汚れたら捨てていた
- (監督がお風呂に入らないのは有名だが)一緒に住み始めたら、監督はむしろお風呂が大好きなんだと気がついた。一旦入ると2時間前に永久凍土から帰還したのか?、って思うくらい延々とあったまっている
- (服を買いに行った渋谷西武のアルマーニの試着室で監督は)、試着のたびに各種ウルトラポーズ
- (一緒にハワイに行く予定だった)友人の都合がつかなくなったので、ダメもとで(監督に)一緒にいかないか、と誘ってみた。ハワイみたいな場所には興味がなさそうだったので、断られるかな、と思っていたのだけど行くという。正直ちょっと驚いた。自分で誘っておいて、え、行くんだ。みたいな気持ちになった。だって監督ハワイのイメージないし
- (ハワイ旅行では)、お互いやりたいことや行きたい場所が違いすぎて噛み合わない。疲れ果てて、東京に戻ったときには無言で別れたの覚えている。成田離婚する人たちってこういう感じなのかな、と思った
- 新しいことは相当な理由がないと手を出さない監督が料理したと言うのだからよっぽど卵焼きを食べたかったんだと思う。(中学生のとき)、親の留守中に卵を焼いてボヤを出し消防車が出動したと言う。(中略)、面白すぎる。(中略)、卵焼きでどうやったらボヤが出るのかわからない
- あれだけ 面倒くさがり屋の監督がカレー食べたさにせっせとレトルトを温めてくれるようになった。この時に監督は大好物と紐付けると割とやる、と気がついた。(中略)、なんだろう。この話は何かの動物実験の記録なのかな
- 擬音などでも間違えることが多い。女優さんのスタイルを表現するにあたって、キュッボンボンと言い出したことがあった。それだと胸がなくてハラとお尻が大きい人、ということになるけど大丈夫かと聞いてみると慌てて、キュッキュボンだった!、と言いなおしていた。どっちもあかん
- 庵野監督:(妻である安野モヨコの漫画は)、「自分がこれがおもしろいんだから、他の人もおもしろいと思え」という作品じゃないんですよ。(中略)、彼女の漫画はそうではない。客観的で知的なおもしろさなんですよね。そこを読み解いてもらえたら、と思います
- 庵野監督:自分が『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を終わらせられたのも妻のその地獄(体調不良で漫画が思うように描けなくなり、苦しんでいる時期が何年も続いたこと)から這い上がっていく姿を見ていて、彼女の精神力の強さに力づけられていたところも大きかったと思います
- 庵野監督:相手に合わせて自分の意向を押し殺すことで、知らずにストレスがたまっていく。(中略)、(妻が漫画が描けないくらいの状態になってしまったのは)、結婚してから僕が与えていたストレスもかなり含まれていたと思います。全く申し訳ないです。我慢ができてしまうと、外からはすごく強い人に見えるんですよ
- インタビュアー:「長生きしたい、と昔から思われていましたか?」、庵野監督:いえ、最近思い始めたことですね。それこそ、60歳を過ぎてからです。(中略)、70歳、80歳と、もう少し長く妻と一緒にいられたらいいなと思ったんです
- 安野モヨコ:どちらかと言うと私のほうこそ支えてもらってきたように思う。(監督は)いつも変わらずにこにこしながら助けてくれてきた。よく、20年も一緒にいられるねと言われるけど、身近な人たちは全員一致で、そりゃー監督が優しくて我慢強いからだ、と思っているはずだ
●目次
- はじめに
- がんばれ!カントク君★
- 庵野秀明50周年記念カード
- 還暦不行届
- 第一回 波状攻撃
- 第二回 遺伝子
- 第三回 コンクール入賞
- 第四回 津和野
- 第五回 先祖からの伝言
- 第六回 結婚式
- 第七回 集中力
- 第八回 庵野家最強の存在
- 第九回 ひとつしかない男
- 第十回 運転交代
- 第十一回 お風呂おじさん
- 第十二回 ファッショニスタとは
- 第十三回 旅の思い出
- 第十四回 監督の手料理
- 第十五回 運貯金
- 第十六回言い間違い
- ミニ監督不行届01‐32
- シン・監督不行届
- 庵野監督インタビュー
- よい子のれきしえほんおおきなカブ(株)
- あとがき
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。