本かつお
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●なぜ気になったか
本書の出版で、世の中に〇〇主義っていっぱいあるんだ、と気づかされた。いろいろな主義をユニークな例え話で説明してくれているので、主義を楽しく学べそう
●読了感想
面白かった。いろんな主義をよくもまぁこんな笑わせてもらえる例え話で説明できるもんだ、と感心した。ただ若者、知らない事例もあり面白さ半減かも。別の作品も読んでみたくなった
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- 「みんなちがって、みんないいよね」これが、相対主義
- 古代ギリシアで相対主義がもてはやされた結果、困ったことが起きました。なんと、人々の、倫理が崩壊してしまったのです。(中略)、主旨に厳密にこだわれば「倫理違反や悪の行為も認めるのが相対主義」となってしまうのです
- 功利主義を象徴するフレーズが、「最大多数の最大幸福」。社会の幸福の合計値がもっと高くなるように、法や政治や人々の行動の指針を決めようという考え方
- 我々の誰もが実践理性(本質的に良いことをしようとする理性)の導きに従って普遍的な良い行動しよう、と呼びかけるのが人格主義
- 正直なところ、人間というのは道徳を守るために生きているわけではなく、(中略)、自分の快のみに忠実に生きる利己主義こそが、我々にはもっとも適した思想
- 「利他的な行動をしている人」はたしかにいますが、それは「利用受ける他人がいるという結果」から「行動が利他的」になっているだけで、その行動の動力は利己主義
- 人が自己中心的でなかったら、社会は発展しない
- 「自分中心ではなく、他人を喜ばせたり他人に利益を与えるような行動を心がける」思想が利他主義。人はみな利己的であるので厳密に言えば利他主義は利己主義の中のいちパート
- 利己主義を追求したいからこそ、そのためには利他主義になるべき。利己的に生きたい人が、最終的にもっとも己が得する方法が実は利他的に行動することだったりする
- 幸い日本は民主主義国家であり、不幸にして日本は民主主義国家でもあります。(中略)、優れた民により優れた国家が作られるのも、愚民によって国が滅びるのも同じ民主主義です
- 「条件を平等にして競争させる」よりも、そもそも競争をさせないことこそが真の平等と言えるはず
- AKBグループにも(平等を重んじる)社会主義を適用させたらどうかと思うんです。(中略)、おそらく平等の行き渡った新生社会主義AKB48は、あっという間にパフォーマンスの質が落ちるのではないでしょうか。(中略)、なぜなら、一生懸命やってもやらなくても、結果が同じだから
- ソ連やかつての中国など、(中略)、土地や工場を国有化してすべての人員を同じ条件で平等に働かせたところ、国民が働かなくなり、みんな揃って貧乏になってしまった
- 社会主義を採用した国のひとつの誤算は、「この地球がそもそも国と国とが競争する『資本主義地球』であり、そして他の国々はほとんどが資本主義を採用している」ということ
- 労働者が革命を起こし、社会主義経済が導入されて運用してみると、実は資本主義こそが、社会主義の欠点を先回りして補っているシステムだったということがわかった
- 資本主義を悪だと断定した社会主義が失敗することによって逆に資本主義の良い部分があらためて浮き彫りになる、というなんだかどこかの国のいつかの政権交代を思い出させるような皮肉な展開になった
- 自由にみんなが商売をすることでどんな良いことがあるかというと、なんといっても「一人一人のパフォーマンスが向上する」(中略)、「手を抜く要因が排除される」。 (中略)、人間というのはなにかを「みんなと一緒にやる」と、必ず手を抜くようにできている
- (人間は)本人は毎回100%の力でやっているつもりなのに、「自分が集団の中にいる」と感じると無意識のうちに手抜きをしてしまう
- 資本主義の、なんでも自由にやっていいし何回でも再チャレンジが可能な制度の中でなければ、革新的な製品や仕組みは登場しない
- (自由主義において)「自由競争が大事である」という前提は同じですが、競争を絶対視し結果はすべて当人が受け止めるべきだと考えるのがリバタリアニズム。一方で、勝者には様々な要素が絡むのだから、勝者から敗者へいくらか還元があってもいいのではないかと考えるのがリベラリズム
- いろんなことを多数決で決めるのが民主主義。(中略)、私は、民主主義はまったく良い制度ではないと思っています。「中略)、少なくとも日本では、これを続けていたら国が滅びるというレベルで、まずい政治のやり方だと感じます
- 選挙というのは「政治のプロである政治家を、政治の素人である国民が選ぶ制度」。これ…、おかしくないですか?「素人の投票でプロを選ぶ」という仕組みが、根本的におかしいと思いませんかみなさん?
- 選挙の度に、知名度があるだけの芸能人とかスポーツ選手とか炎上がウリのYouTuberとかが現職の政治家を押しのけて当選したりしてるんですよ? それが有権者のレベルなんですよ!
- ヒトラーとナチスだって、民主主義における選挙で選ばれたんですからね。特定の人種を皆殺しにしようとする人間を「なんか演説が上手で頼もしそうだなぁ」で選んでしまうのが国民であり、それが起きてしまう制度が民主主義なんです
- 素人がNHK交響楽団に乱入して好きに演奏したらコンサートは破壊されるように、政治の素人が主権を持って大量に政治に参加したら国は破綻する
- 選挙がある意味「ただの人気投票イベント」と化すことで、政治家、あるいは政治そのものがポピュリズムに染まってしまう。(中略)、ポピュリズムというのは、日本語で「大衆迎合主義」と表現されるそのまま、常に大衆からの評判を基準にして自分の方針を決める思想のこと
- 認知の衰えたご老人からは運転免許証も選挙権も取り上げなきゃダメです。車のハンドルも国のハンドルも、正常な判断力がない人に握らせちゃダメです。取り返しのつかない事故が起こりますよ
- 恐怖説得というのは「〇〇をしないと怖いことが起きるよ」と、相手を揺さぶって誘導するテクニックのこと。人を動かすためにわりとそこかしこで使われている手法
- 日本というのは、他国と比べれば国民の愛国心は強くない国。(中略)、とりわけ私が愛国心が強い国だと感じたのは、断トツで北朝鮮。(中略)、愛国心では北朝鮮に惨敗と言わざるを得ません(勝負してないけど)
- 最初は他者から強いられた「無理やりの好意」でも、時間が経てばそれは洗脳となり、いつしか「本物の好意」に変わっていくもの
- 私たち人間には、外集団を自分たちの敵だとみなし、その敵に立ち向かう時に、内集団の結束が大きく高まるという性質がある。さらには「共通の敵がいる」と言う共通項を持つことにより、もともとは互いに外集団だとみなしていたグループ同士に仲間意識が生まれ、ひとつの内集団となることすらあります
- 人間の善悪の基準は「自分がする行為をする行為は善、敵がする行為は悪」という、相対的なもの。(中略)、善悪ではなく、「『自分の正義』と『相手の正義』はどこが食い違っているのか?」と相対的な視点で考えなければ、テロも戦争もこの世からなくすことはできない
- 英語には「兄」とか「妹」だけを表す単語がない。(中略)、なぜないのかというと、英語圏の人は兄弟がいるときに、その兄弟が兄なのか弟なのかを、気にしないから
- 英語には「窒息死させる」という意味の単語が、私が知るだけでも6つもあります。(中略)、英語圏の人は、他人を窒息死させる時の詳細な方法をしっかり認識したい世界に住んでいるんだなぁ
- サンタクロースが赤い服に白いヒゲ、黒いベルト&ブーツという赤白黒のカラーリングになっているのも、コカ・コーラの宣伝を兼ねているため
- ポジティブシンキングの一番のメリットは、「予言の自己実現が働くこと」
- 「私はこれをやります!」と大勢に向けて公言すれば、人は実際にそう振る舞うようになる
- 東京の小◯都知事なんかは、立候補に際して「待機児童ゼロ」「残業ゼロ」「満員電車ゼロ」「ペット殺処分ゼロ」「介護離職ゼロ」「都電電柱ゼロ」「多摩格差ゼロ」の7つのゼロを実現します!と1千万都民に向けて公言し、それで見事当選を果たした。その結果、就任から2期8年を経て、公約達成率はゼロです(8つ目のゼロ)
- 悲観主義は、(防御的ペシミズム)として用いられることで、事故や失敗を回避したり、私たちの向上心を促すという利点を生むことがある
- ポジティブとネガティブそれぞれの特性をよく理解して、場面に応じて使い分けるのがもっとも利口な振るまい方
- 幸福とは「知ることである」。(中略)、なにかを知っていることは、人生を楽しくする
- 懐古主義の「過去を賛美する意識」というのは、現在の否定から生まれることが多い
●目次
- まえがき
- Chapter1道徳正しさについてどう考えるか
- プロローグ
- 第1章相対主義
- 新選組も女子レスラーも陽気なインド人も……、人間は万物の尺度である。
- 第2章功利主義
- 第3章人格主義(カント主義)
- 「いかなる時も絶対にウソをつくな」というカントの教え、現実には実行不可能説。
- 第4章利己主義
- ここだけの話、ガンジーだってマザーテレサだって、利己主義の支配からは逃れられないのです。
- 第5章利他主義
- 「4月生まれは3月生まれよりも成功しやすい」という残酷な法則と、利他主義こそが究極の利己主義である理由。
- Chapter2組織身勝手な集団をどうまとめるか
- プロローグ
- 第6章社会主義①
- 資本主義サーキットで危険運転をする若手起業家ドライバーを例に、平等な社会について考えてみましょう。
- 第7章社会主義②
- 選抜総選挙からセンター争いまで……過酷な競争で苦しむAKB48に、ためしに社会主義を適用してみましょう。
- 第8章資本主義
- ショッカーが「打倒・仮面ライダー」の悲願を果たすためには、資本主義と社会主義のどちらが良い?
- 第9章自由主義(リベラリズムとリバタリアニズム)
- 親ガチャも子ガチャも運次第。もしもあなたが大谷家に赤ん坊の翔平君として生まれていたら……
- 第10章民主主義
- 「民主主義は最悪の政治システムだ」ってチャーチルさんが言ってましたけど……。それな。
- 第11章ポピュリズム(大衆迎合主義)
- 「ラーメンの鬼」佐野実さんの評価は、ラーメンの味でするべきだ!佐野さんの怖さでするべきじゃない!
- Chapter3認識曖昧な現実をどう捉えるか
- プロローグ
- 第12章合理主義と経験主義
- 目の前に突然大好物の麻婆豆腐がボヨヨンと降ってきたら、あなたは食べますか?食べませんか?
- 第13章スピリチュアリズム、オカルティズム
- 高杉晋作はあの世でも戦い続けるし、日本は再魔術化しているし。
- 第14章愛国主義
- 北朝鮮に行き、現地の人々に「愛国心対決」を挑んだ私!見事に、大敗いたしました!
- 第15章テロリズム
- いかなる理由があろうとも、テロは断じて許されないのである!!(テロリスト談)スリランカとパレスチナ自治区で考えたこと。
- 第16章構造主義①
- リンクくんが「ゼルダの伝説」の世界から抜け出せないように、私たちはこの世界の「構造」から抜け出せないのです。
- 第17章構造主義②
- なんとなく従っている伝統や習慣……もしかすると、そこには何者かの思惑が隠されているかもしれません。
- Chapter4幸福自分の人生をどう生きるか
- プロローグ
- 第18章楽観主義VS悲観主義
- この社会の「ポジティブ推し」にひとこと物申~~す!!ポジティブシンキング、がっぺむかつく!
- 第19章幸福主義と快楽主義
- 幸せとはなにか?この人類永遠の問いに、哲学者たちが出した答えとは……。
- 第20章清貧主義VS拝金主義
- 1日1杯のコーヒーを節約すれば家が建つかもしれないけれど、家を節約すれば毎日コーヒーが飲めるのです。
- 第21章懐古主義
- 「最近の若い奴らは……」とついつい言ってしまう、私とあなたとジャッキーチェン。
- 第22章実存主義
- 人間はなんのために生きるのか?アルカトラズの囚人を襲った、刑務所より恐ろしい「自由の刑」について。
- あとがき
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。