読了

日本のなかの中国/中島恵

本かつお
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●なぜ気になったか

日本に住み着いた中国人は、観光で来るのとは違う考えで来ているはず。彼らが何を考え、どのように暮らし、そして日本についてどう思っているのか、という興味が昔からある。そのことを教えてくれる内容、これは読みたい

●読了感想

異国で暮らしたいと思う中国人はそこそこ存在するだろう。もし自分が中国人だったら、自由で治安がいい日本に憧れるはず。なぜ日本に来るのか、どのように日本に入り込んでいるのかを本書で知り、複雑な気持ちになってしまった

アマゾンレビュー

●心に響いたフレーズ

  • 中国人経営による病院はほかにも複数あり、近年、その数が増えている
  • ほぼ中国人だけで構成されるコミュニティは、私たち日本人が知らないうちに、ネットとリアルの双方に猛烈な勢いで広がってきている
  • 有名学習塾のほとんどに中国人の子どもが在籍しており、校舎によって、その数は全体の二割を超えることもある
  • 在日中国人の困りごとの解決をメインとするボランティアグループ『龍在日華人援助協会』もある。石川県能登半島で発生した大地震のあと、同協会の有志は一月中旬、石川県珠洲市などで活動を行った
  • もともと来日したのは、日本で最新の技術を勉強したい、いつか中国に帰って貢献したいと思ったからでしたが、日本よりも進んでいる技術が中国にあるなら、それを日本に導入したいという思いにかられました
  • 「私は北京出身ではないし、北京の不動産があまりにも高くなりすぎて、とても購入できそうもない。でも、東京ならば暮らしやすそう」と考えて、三年くらい働いて帰るくらいの軽い気持ちで、一四年に来日した
  • 最近、日本にある中国人の団体やグループと接していて、「(日本が)、だんだん中国みたいになってきた」と感じる機会が増えた
  • (中国人の親中派は)、中国はこんなに大国になり、世界に貢献しているのに、日本(や世界)はいつまで経っても認めてくれないと思っています。一方、反中派は一部の日本人と一緒になって中国を批判しています
  • 東京・神保町で、「局外人書店」を営む趙三國君国氏は、(中略)、「私は子どもたちに中国国内の教育を受けさせたくないと思ってきた。そうした気持ちが高まって、日本にやってきたのです」と語る
  • 一部を除き、最近の(中国からの)移住者は日本に対する憧れや関心はあまり持っていない。(中略)、あくまでも身の安全や資産のリスクヘッジなどのために、とりあえずの転居先として「近い、安い、治安がいい」、そして在日中国人も多く、協力者が身近にいて便利な日本を選んでいるに過ぎない
  • これからは日本の不動産を買うのも中国人、建設するのも中国人、という時代が遠からずやってくると思います
  • 「日本に行けばお金を稼げる」という時代は終わりを告げ、日本から出ていく人がいる。それはいま始まったことでなく、2010年に日中のGDPが逆転した頃から、少しずつ始まっていた
  • 2050年代には人口の一割が外国人になるとの予測もある

●目次

  • プロローグ 日本にいるのに、日本語が下手になる私
    • 最近、話すのは中国語ばかり
    • 来日して一年半、ほとんど日本人と接しない
    • 漢服を着て大学の卒業式に
    • 「母国語で診療してくれる病院はありがたい」
    • なぜ、日本のグルメサイトで予約できないのか
    • 中国人による中国人のための空間
    • 私たちの知らない「夜の顔」「プライベートの姿」
    • 会社幹部や経営者が増えている
    • 人口規模は山梨県や佐賀県と同じ
       
  • 第1章 日本人が知らない、中国人SNSの世界
    • アヒル肉やガチョウの卵がSNS通販で大人気
    • 日本のスーパーには、ほとんど行かない
    • 地域の先輩として情報提供する喜び
    • ある有名学習塾は、二割超が中国人子弟
    • 保護者のSNSは、中国国内と同じ構造
    • 「誰でも、すぐに一〇〇人くらい集められる」
    • 世界五〇カ国の中国人女性文学者がつながる
    • 能登半島地震でボランティア活動
    • 急増するのは高齢者問題と詐欺事件
    • もうSNSのない環境には戻れない
       
  • 第2章 中国人だけで回す経済ネットワーク
    • 日本企業で働く中国人が増えた三つの理由
    • 「スーツを着て面接に来る人は初めてだ」
    • 仕入れ先、作業、顧客のすべてが中国人
    • 「中国系企業の役割」とは何か
    • 最初から最後まで中国人で回るビジネス
    • 「中国人は中国人に気をつけろ」
    • ネット通販は「安さ」で勝負する
    • ライバルと「協力」する利点
    • 東京に集結する芸術家のネットワーク
    • 「背景にあるのは、日本の文化レベルの高さ」
    • 女子十二楽坊を覚えていますか?
    • 二胡に魅了される日本人女性
    • 『蘇州夜曲』に涙する姿に感動
    • 卓球選手も、二胡奏者も競争が激しすぎるから海外へ
    • 「三国志」「水滸伝』『西遊記』が大ヒットした理由
    • 中国人より中国文化に詳しい日本人
       
  • 第3章 持ち込まれた中国的論理
    • バックに中国政府がついている、ある団体
    • 偉い人を偉そうに見せる、どこかで見た光景
    • 子どもの発表会で「国威発揚」のビデオ上映
    • 「一流企業で働く中国人は、こんなところに来ない」
    • 必死に行う「愛国アピール」
    • 人が集まれば権力闘争が始まる
    • 春節休みに配慮してくれる日本人上司
    • 役職名も、話し方も中国風
    • 情報収集の中心は母国メディア
    • 祖父はブルース・リー映画の監督
    • 在日中国系メディアの実態
    • SNSで発信する親中派と反中派
    • 現状に満足できないから極端に走る
    • 「マナー問題」に対する複雑な感情
    • 「日本のメディアは反中的」という思い込み
    • 同じ国の違う「世界」に住む私たち
       
  • 第4章 日本に来たい中国人 中国に帰りたい中国人
    • 著名人も続々、最近日本に移住した新・新華僑
    • 莫大な資産を築いた三〇代、日本で「余生」を送る
    • 日本の文化や芸術を愛し、人生を謳歌
    • 日本に「とりあえず」移住する人々
    • 「とにかく中国を出たい」が生む不正
    • 日本で暇を持て余している富裕移住者
    • 日本で学ぶ中国語MBAプログラム
    • バブル崩壊、少子高齢化—日本から何を学ぶのか
    • 中国語MBAプログラムが各国で広がっている
    • 日本の不動産を建設するのも、買うのも中国人
    • 日本語が上達しない理由
    • 「日本生まれ?」と思わせるほどの語学力
    • 中学三年で来日、日本の公立高校へ
    • 日本の進学塾で、中国人子弟を指導する
    • 来日時期で、学生の境遇はまったく違う
    • 「自分は半分中国人で、半分日本人」
    • 中学の授業後、毎日、日本語塾に通う
    • 「落ちこぼれないよう日本語を教える」
    • 社会のマナーやルールも教えている
    • 故郷に帰る意思を固めたマッサージ師
    • 日本で必死に働いた日々は、何だったのか
       
  • 第5章 多層化していく社会
    • 「身分」を超えて結婚相手と出会える国
    • 在日中国人の出会いを手伝うサイト
    • 所得、学歴、地域・・・在日中国人の社会階層
    • 中国人が住みやすい「団地」の条件
    • 安い家賃で資金を貯めて移住する
    • 中間層向けのガチ中華
    • 富裕層向けのガチ中華
    • 「在日中国人の文化レベルを上げたい」
    • 富裕層の移住で階層化が進んでいるのか
    • モラルの低い人がもたらす全体の悪評
    • 家族全員中国人、家で話すのはすべて日本語
    • 日本育ちの子どものアイデンティティ
    • 活躍の場が広がる一〇代、二〇代の二世
    • 来日時期により言葉と教育事情は大きく異なる
    • 日本に形成される「中国世界」をどう認識するか
       
  • エピローグ 日本で暮らし働いた黄さんのささやかな夢
    • あるマッサージ師、久々の帰省
    • 真っ黒な雪と商品サンプルのような野菜
    • 久々の母国のマナーの悪さに落胆する
       
  • あとがき

プロフィール
本かつお
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。
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