本かつお
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●なぜ気になったか
川上未映子さん、読んでいない本はまだ結構あるけどとても好きな作家さん。そういいながらも恥ずかしいことに、この出産本を出されていたことを今さらながら知った。出産に対してどのようなことを考え、どのような表現で書かれているのか読みたくなった
●読了感想
川上未映子さんの作品を、声を出して笑いながら読むことがあるなんて思ってもいなかった。いたるところで「さすがの表現力だなぁ」と感じるのは変わらなかったが、それが笑えるおもしろさというまた違った魅力に出会え、未読の作品を早く読みたくなった
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- 物心ついたときからものごとの暗い面をさらに暗い色をした眼鏡ごしにみつめ、ネガティブさにかけては人後に落ちないという自負のある、いわばネガティブ・ネイティブたるわたし
- お腹の赤んぼうは100%こちらの都合でつくられた命で、100%こちらの都合で生まれてくるのだから、それならば、われわれはその『生』を100%の無条件で、全力で受け止めるのが当然じゃないのだろうか。それが筋、ってもんじゃないだろうか
- 少なくともわたしは出生前検査をした時点で、「きみよ、生まれてこい、わたしがありのままで受けとめる」という態度はとらなかった。(中略)、それは点のような空白として、わたしのなかに残っている
- 人はなぜか自分の選択したことやものが正しく、またよりよいものだった、と思いこみたいところがあって、それがときおり顔をだす
- 「このままだったら、なにも用意せずに出産をむかえるはめになるかもしれん(中略)」という不安に耐えることができなくなって、(『不安』が『後回し根性』に打ち勝った瞬間でもあった)、(中略)アカチャンホンポへ行ってきた
- (妊娠したお腹を)横むきになって鏡でみると、もう、なにかの間違いというか、ギャグというか、一発芸というか、スヌーピーの横顔みたいなんである
- ぶつぎり睡眠っていうのは、いうなれば「かわいい♡拷問」みたいな感じで、しかしかわいかろうが、♡だろうが、拷問は拷問なんである
- ある日、あまりにも赤ちゃんがかわいくて、不安になった。(中略)、でどころも理由もわからないのに、ただただ湧きでてくるこの気持ちに、なんだかふと、こわさみたいなのを感じる瞬間もあるのだった
- この子の命とひきかえに死ねますか、ときかれたら、信じられないことに、これがもう即答で死ねるという実感がいつのまにか宿っているのだった
- 母親はどうも赤ん坊というものを自分の身体の延長にあるようにとらえてしまうものなのかもしれないね。その点、父親は最初から最後まで、赤ちゃんと身体的につながるということはない
- (産後クライシスのときに書いた)文章。「出産を経験した夫婦とは、もともと他人であったふたりが、かけがえのない唯一の他者を迎えいれて、さらに完全な他人になっていく、その過程である」
- なんでも考えすぎず、自分の偏った想像力を信用しすぎず、ときには流れにまかせて選択するということが、思いがけないけっかをくれることを、はじめて知ったような気がする
●目次
- 出産編 できたら、こうなった!
- 陽性反応
- つわり
- 出生前検査を受ける
- 心はまんま思春期へ
- そして回復期
- 恐怖のエアロビ
- かかりすぎるお金と痛みについて
- 生みたい気持ちはだれのもの?
- 夫婦の危機とか、冬
- そして去ってゆく、生む生むブルー
- いま、できることのすべて
- 乳首、体毛、おっぱい、そばかす、その他の報告
- 破水
- 帝王切開
- なんとか誕生
- 産後編 生んだら、こうなった!
- 乳として
- かわいい♡拷問
- 思わず、「わたし赤ちゃんに会うために生まれてきたわ」といってしまいそう
- 頭のかたちは遺伝なのか
- 3ヶ月めを号泣でむかえる
- ひきつづき、かかりすぎるお金のことなど
- 髪の毛、お肌、奥歯に骨盤、その他の報告
- 父とはなにか、男とはなにか
- 夫婦の危機とか、夏
- いざ、離乳食
- はじめての病気
- 仕事か育児か、あらゆるところに罪悪感が
- グッバイおっぱい
- 夢のようにしあわせな朝、それから、夜
- ありがとう1歳
- あとがき
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。