本かつお
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●なぜ気になったか
なぜ10年以上この本の存在を知らなかったのだろう。震災発生後10ヶ月ほどで出版されているのが驚き。笑い声が絶えない避難所が存在したなんて信じられないのだが、どんな流れで生まれ、どう運営されていたのか知りたい
●読了感想
「笑う、避難所」の誕生と成長を知ることができた。有事の際は、千葉さんのようなキャラのリーダーシップや子どもの笑顔が苦しい中にも希望を灯してくれるのだなと実感。ここへ避難されたみなさんはいい経験をされたのだと思う
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- 「百三十六人の避難民のうち、どう考えたも動けるやつは一割もいない。この百三十六人をどうやって食わせるか」被災地全体が、絶望を前に力を失っていたときに(リーダーの千葉は)自らの役割を即座に見極め、生き抜くための作戦を練っていた
- (意見のまとめ役の糸数は、避難所の)朝礼では次のように話した。「人間らしく生きる。人間らしい生活を取り戻すことを、みんなで目標にしてやっていきませんか」その日から明友館の住民たちの雰囲気はガラリと変わり、みな自主的に掃除や食事の手伝いなど、自分のできることを始めるようになった
- 明友館はこれまでの避難所というのとは別の顔を持つようになる。明友館を拠点に、避難民自らが行政の手が行き届かない小さな避難所や(中略)、在宅避難民、幼稚園などの子供施設に向けて、全国から送られてくる救援物資を届けるようになる。つまり「支援する避難所」となっていくのである
- 規模の大きな避難所に行ってみると、あまりの頭の硬さに驚かされることがある。物資が届けられても、彼ら(行政やボランティア団体の人間たち)がまず口にするのは、「リーダー会議で承認を受けないと、こちらでは受け入れられません」という
- 避難所に娯楽室というのは、指定避難所では設置されることはなかったであろう。しかし、明友館の目指した震災前の人間らしい生活ということを考えれば、生活の中に娯楽があることに何の疑問もない
- 父親が亡くなったときもそうだった。長男として家のことを片付けるのに必死で、父親のために、自分のために泣くまでに半年がかかった
●目次
- 第一章 自主避難所「明友館」誕生
- 地震発生
- 真っ黒な津波
- 自主避難所「明友館」の誕生
- 水を運んできた男
- 真夜中のおにぎり
- 瓦礫のなかの食料調達
- リーダーと班長
- 唯一のルール
- 第二章 「役割」を果たす避難民
- 避難民からの物資提供
- 男たちの作戦会議
- 食をつなぐ女
- ひとつになる”地域”
- ゲームをやめる子供たち
- 第三章 リーダー・千葉恵弘
- 千葉の携帯が「外」とつながる
- 「千葉貞」に生まれて/
- 「千葉貞」の名が邪魔をする
- 「石巻の千葉ちゃん」から堅気の世界へ
- 成田との出会い
- 自由な世渡り
- 第四章 支援する避難所
- 物資の山が届く
- 避難民による支援開始
- 受け入れ拒否の避難所に横から突っ込む
- なんでも揃う物資庫
- 支援物資の最後の砦
- 子供施設への重点支援
- つながる支援の道
- 第五章 奇跡の避難所
- 第六章 明友館に集う人々
- PHANTOM GATE代表 成田智浩/
- ㈱日本都市・代表取締役兼マハラジャ六本木・オーナー 大原俊弘
- シンガーソングライター さだまさし
- 第七章 これからの明友館
- 行政施設という運命
- 困っている人がそこにいる
- 支援の手が続く限り
- あとがき
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。