本かつお
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●なぜ気になったか
中学受験に挑んだ3組の家族にはどのようなドラマが起こったのだろう?実話を元にしたノンフィクションということで、リアリティを感じられそうなので読んでみたい
●読了感想
受験に挑む子どもの両親にはぜひ読んでほしい。対応によっては家族の崩壊を招く危険がある受験。本書を読んで、子どもと家族にとってなにが大切なのかを受験前に考えておくべきだと思う
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- 親の絶望は、口には出さなくても子どもに伝わる。それはどんなに鋭利な刃物よりも深く、子どのの心をえぐる
- 正解がない時代だといわれているのに、自分自身が正解を求め、踊らされてしまった。親として達観できなかった。自分が情けない
- (自分たちの中学受験が終わり)、数ヵ月経ったいま、見えてきたものがあるとすると、それは自分自身の視野の狭さ、器の小ささだと思う
- 息子の友達の母親は、謙遜が過剰なタイプで、ちょっとテンポが合わないなあと感じていた
- (全国統一小学生テストで)、成績優秀者として表彰され、(中略)、学歴社会に蠢く下界を雲の上から見下ろしているような気分になれた
- もともとは自分から勉強する、勉強好きな子どもだったのに、(中略)、自分たち両親が、息子の自走モードのスイッチを切ってしまったことを思い知らされた
- 自らの偏差値至上主義ゆえに過剰に高まった自意識で、自らを傷つけていた
- 息子の成績が彼より上なのは、純粋に、自分たち両親が息子に猛烈な量の勉強させているから。(天才肌の)彼の素質を、息子の努力で凌駕しているだけなのだ
- 夫の取り乱した姿を見て、母親から憑きものが落ちた。(中略)、夫から自分の気持ちが離れていくのがわかった。灘の入試を終えて、風間家はとうとう壊れた
- これはSOSなんだ!(中略)、親のため塾のための受験になっちゃっているから、他人事なんだ。これはきっと無意識の抵抗なんだ
- 心が引き裂かれそうになった。(灘・開成・筑駒合格という)三冠が達成できず、父親の期待を裏切ってしまった自分が悪いと、自分を責めていることが、母親にはわかった
- 長男は二男ほど勉強はできないけれど、こんなに頼もしく優しく育ってくれた。偏差値とか、学校のランクとかって、何の意味があるんだろう?
- 子どもたちが笑っていて、自分がこんなに心地いい。(中略)、大切なひとたちがそばにいるなら、ほかに人生に必要なものなんてないじゃん
- (灘・開成・筑駒合格という)三冠に最も近い男と言われていた息子が本番で実力を発揮できなかった理由はあまりにも明白だ。土壇場で家庭という足場がぐらついたからだ
- 息子は勉強がものすごくできる。でも人間としてのバランスには欠ける。一方、妹は勉強が得意ではない。でもどこに行っても生きていける明るさとたくましさがある。
- 人間として何らかの機能が欠けているほうが、中学受験勉強で良い成績をとるという意味では有利なのではないかと思えてくる
- 中学受験はときに、親の未熟さを残酷なまでにあぶり出すようだ
- 偏差値の高い低いで子ども値踏みし、その親まで評価することの浅ましさを、今母親は痛感している。かつての自分が恥ずかしくてたまらない
- 息子がこれからやらなければいけないことは、受験エリートとしてのプライドを回復することではなく、むしろ偏差値やテストの点数で人間を評価する価値観との決別だ
- 子どもがハッピーなら、親はそれだけで幸せになれる
- 毎朝六時に起きてラジオ体操をすることに決めた。(中略)、一日の始まりに自分に打ち勝ってルーティンを行うと、それだけで自信が湧いてくるのがわかった
- 娘のふがいない態度に(中略)、口調の端々がきつくなる。そんなことはいままでなかった。自分も中学受験という魔物に取り憑かれてしまったのだろうか
- 母親の苛立ちと反比例するように、ますます娘の成績は下がった
- これだけ素敵な学校がたくさんあるのなら、(中略)、中学受験を勝手に難関にしていたのは、自分たちの狭い視野だったんだ
- 家族みんなが、中学受験を通して強くなれている気がした。少々の喧嘩をしたって壊れない信頼関係で、自分たちが結ばれている気がした
- 自分の視点がぐるりと転換するのを母は感じた。ずっと引っ込み思案だった娘が、だめかもしれないけれど(難関校受験を)やろうという選択をしたのである
- 娘は、(香蘭という難関校を2回受けてともに落ちたが、)結果に傷つくことを恐れずに挑戦できた自分を、誇りに感じ始めているのかもしれない
- 結局のところ、中学受験で大切なのは、どこにたどり着いたかではなくて、どう歩んできたかなのだ
- 中学受験は親次第だなんて、親を競争に駆り立てるためのまやかしでしかない
- 通う気もないのに「最難関校合格」の称号を得るために行われる、俗にいう「トロフィー受験」は、中学受験の恥部である
- 中小塾を選ぶ5つの観点①カリキュラムは明確か②合格実績は出ているか③保護者との意思疎通はスムーズか④どれくらいの年季が入っているか⑤適正な規模を保っているか
- 私が書く受験の記事は、(中略)、このクソみたいな受験システムに、どうやったら過剰適応しないで受験を乗り切れるかという話なのである
- ペーパーテストの点数だけを見て「うちの子はどうやら中学受験には向いていない」、(中略)、と考える親こそ中学受験には向いていない
- 親子を壊すいちばんの原因となるのが、「第一志望に合格しなければ意味がない」というような「ゼロか百か思考」である
- 中学受験をいい経験にする奥義は、極端な言い方をすれば、「たとえ全滅しても『やってよかった』と思える境地」に至ることだ
- 合格という結果ばかりを見ていると、いま、目の前で努力する子どもの成長に気づけなくなる
- 本人以上に保護者が中学受験の結果を引きずっている場合、子どもの自己肯定感は一時的に傷つく
- 親が、子の努力を評価し、どんな結果であろうと讃えることができれば、子どもの自己肯定感を守ることができる
- 第一志望を選ぶ5つの観点①男女別学か共学か②自由と規律のバランス③創立者のバックグラウンド④進学校としての打ち出し⑤スキル重視か価値観重視か
- 子どもは無意識に、親に問うているのだ。(中略)、「仮にもし、私があなたの期待に応えられなくても、私のことを自慢のわが子と思ってくれますか?」
- 人生には、結果よりも大切なことがある。(中略)、結果によってもたらされた地位や名声は失うことがあるけれど、過程によってもたらされた誇りは誰にも奪われない
●目次
- エピソードⅠ アユタ
- エピソードⅡ ハヤト
- エピソードⅢ コズエ
- 解説
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。