読了

あなたはここにいなくとも/町田そのこ

本かつお
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●なぜ気になったか

人間関係の機微に触れられそうな5篇。ハッピーエンドなのかそうでないのかもわからない。エンドに至るまでの登場者の心情とそれによって起きることを楽しみたい

●読了感想

どの話も次の章を期待してしまう終わり方。しかし続きはない。読者は続きをゆだねられ、好きなように創作して楽しむことができる。読後の余韻に浸りながら自分なりの続き創作を楽しめた

アマゾンレビュー

●心に響いたフレーズ

  • ばばあでいいよ。みんなそう呼んでるんだろう? 親しみが籠ってりゃ、何でもいいさ
  • 死ぬまで土の中でひとりでい続けたいと願う蝉はいないのだろうか
  • ひとと繋がりを築くというのは、(中略)、常に緊張感を強いられ、維持するのにも注意を払わなければいけない。壊してしまえば、楽になれる。ときには、心地よささえ覚える
  • 大人の望む返答さえしていればよかった。望まれる子どもを演じているだけで、私の日々は穏やかに回った
  • 自分の足でしっかり立って生きていくためには、持ちきれない荷物は捨てないかん。重くて身動き取れなくなるくらいなら、軽くするしかない
  • わたしは藍生の心を奪った、身も知らぬ、誰かに嫉妬覚えるまで、自分の恋心に気づかなかったのだ。あ、わたし藍生が好きなんじゃん
  • 気まずそうな顔をして「ごめん」と俯く。(中略)、藍生のずるいとこだ、こういうときに、素直に謝ってくる
  • 自分の人生の痕跡の処分は自分でやるべき、(中略)、自分にとって死ぬほど大事だったものが、見も知らぬ誰かに乱雑に処分される方が、嫌だもん
  • (『好き』って)、自転車と一緒。うまく乗れる子もいるし、何回もこける子もいる。自分じゃ乗りこなせなくても、この自転車じゃないと嫌だってこだわる子もいるわけよ
  • 情の勘違いじゃ、心臓はきっと痛くならない。(中略)、こんなにしんどいのは、勘違いじゃない。わたしの中の気持ちは、絶対に勘違いじゃない
  • 同じ『好き』でも、藍生の『好き』と私の『好き』は性質も違うんだな、と思った。『好き』って、奥深い

●目次

  • おやつのよる
  • ばばあのマーチ
  • 入道雲が生まれるころ
  • くろい穴
  • 先を生く人

プロフィール
本かつお
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。
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