2023.04.19 2024.10.01 読了 コミュ力は「副詞」で決まる/石黒圭 本かつお 記事内に商品プロモーションを含みます ●なぜ気になったか 副詞、確かにコミュニケーションをする上で結構使うし、使われることで理解が進む。どのような種類の副詞があり、相手にどのような影響を与えるのか学び直したい ●読了感想 副詞の分類、使い分け、具体例などについてボリュームたっぷりに書かれていて、副詞についてじっくり学ぶには最適な1冊。逆に、わかりやすい懇切丁寧な説明がくどくも感じられる面もある アマゾンレビュー コミュ力は「副詞」で決まる/石黒圭 created by Rinker 光文社 Kindle Amazon 楽天市場 Yahooショッピング ●心に響いたフレーズ 副詞は別名「品詞のゴミ箱」と呼ばれ、分類しにくい自立語をまとめて引き取っている品詞 副詞→先行副詞/接続副詞、先行副詞→語の副詞/感動副詞、語の副詞→属性副詞/陳情副詞、属性副詞→状態副詞/程度副詞 情態副詞→様態の副詞:ゆっくり、まっすぐ/結果の副詞:おいしく、きれいに 程度副詞→程度の副詞:かなり、やや、多少/数量の副詞:すべて、たくさん、半分/頻度の副詞:よく、ときどき、たまに/時間の副詞:かつて、もう、しばらく 予告副詞→呼応の副詞:ぜんぜん、いったい、まるで/評価の副詞:幸運にも、残念ながら 検討副詞→認定の副詞:たしかに、やっぱり/限定の副詞:とくに、おもに/発話の副詞:正直、ぶっちゃけ 副詞の五つの性質→①描写性:出来事をリアルに写し取る②程度性:物事の捉え方に物差しを当てる③予告性:内容を先回りして表現する④評価性:事態に話し手の評価を込める⑤期待性:自らの基準とのズレを語る 副詞とは話し手の先入観の反映、語ろうとする事態を話し手が主観的に捉えた表現 「ちょっと」をたくさん使いたくなるのは、これから言う内容の和らげとして働くから。(中略)、話し手にためらいの気持ちがあると、「ちょっと」を連呼するようになりがち その人が意識せずに口癖として使っている副詞を分析すると、その人の性格やその場の気持ちまで推し量れてしまいます。副詞というのはじつに怖い言葉 擬態語のオノマトペ「はらはら」「ぱらぱら」「ばらばら」を比較。「はらはら」は雪、「ぱらぱら」は雨、「ばらばら」はあられ 医者は、患者のオノマトペの選択を手がかりに症状をより適切に判断できます。その意味で、オノマトペは病気の診断に欠かせない、ときには命に関わる表現 料理レシピサイトのクックパッドでは、「オノマトペ検索」がはやっているそうで、「ふわふわ」「もちもち」「サクサク」「シャキシャキ」「ぷりぷり」「とろ〜り」などがよく取り上げられます オノマトペの五つの表現効果→「感覚的に伝える効果」「臨場感を高める効果」「行動を促す効果」「人目を惹く効果」「気持ちを伝える効果」 高野秀行六段は、デビュー戦から練習を重ねていた藤井聡太を「性能の良いマシンが参戦すると聞き、フェラーリやベンツを想像していたら、ジェット機が来たと言う感じ」と評した (「将棋の神様」へのお願いとして、他の棋士は「将棋を強くしてほしい」と答える中)、藤井聡太は「せっかく神様がいるのなら一局、お手合わせを願いたいなと思います」と答えた 「速やかに」「早急に」「大胆に」「慎重に」「段階的に」「毅然と」「極めて」「厳重に」「着実に」などの「スタンスの副詞」が永田町で愛用されるのは、ウソにはならないから 「丁寧に」「重く」「しっかりと」「謙虚に」「真摯に」などの「ポーズの副詞」に共通している点は、自分に瑕疵があったにもかかわらず、何も変わろうとしないという態度 私たちは副詞の使用に敏感になることで、政治的な操作にも気づけるようになるわけです。副詞を熟知することは、私たちのメディアリテラシーを向上させることにもつながります 「本気でやばい」にふりがなを振る場合、(中略)、「ほんきでやばい」「マジでやばい」「ガチでやばい」のどれを選ぶかで、その人の世代がだいたいわかると考えられます 副詞はいわば薬です。適切に使えば症状を抑え、治療に役立つ高い効果があるのですが、使い方を誤ると、かえって症状が悪化したり、副作用が出たりするのです ●目次 はじめに 第1章 副詞とは何か―「副詞ってやっぱり難しい?」 1.副詞の混乱 マイナーでわけのわからない副詞 品詞のゴミ箱 2.副詞の整理 山田孝雄の品詞分類―ゴミだって分別できる 情態副詞―動詞を助け、様子を詳しく描写する 程度副詞―形容詞などに添え、量的尺度を示す 予告副詞―言いたいことを先回りして表現する 検討副詞―頭のなかで検討した、物事の見方・考え方・言い方を示す 副詞の分類 3.副詞とは何か 副詞の五つの性質 副詞の期待性―気持ちを効果的に伝える 副詞とは―話し手の先入観の反映 第2章 副詞の多用―「ホントにホントにライオンだ♪」 1.副詞の重要性 言語コーパスで副詞の使用状況を分析する 「書き言葉コーパス」での副詞ランキング 「話し言葉コーパス」での副詞ランキング 歌詞における副詞ランキング 2.副詞の連呼 連呼する副詞に個性が表れる 「もう」の連呼 「まあ」の連呼 「ちょっと」の連呼 「やっぱり」の連呼 「けっこう」の連呼 「本当に」の連呼 第3章 情態副詞―「ちゃんとやってよ!」 1.情態副詞の範囲 意味の三角形 形容詞・形容動詞の連用形 2.オノマトペの特徴 オノマトペの語源 オノマトペの音象徴性 オノマトペのイメージ喚起力 幼児語としてのオノマトペ 3.オノマトペの表現効果 感覚的に伝える効果―料理、スポーツ、医療 臨場感を高める効果―会話が盛りあがり、読みが深まる 行動を促す効果―「しっかり」「きっちり」「どんどん」 人目を惹く効果―番組名、商品名 気持ちを伝える効果―漫画、歌詞 第4章 程度副詞―「超気持ちいい!」 1.「程度の副詞」の実態 「とても」はよく使われるのか 外国人にどんな「程度の副詞」を教えるか 2.「数量の副詞」のあいまいさ 「数量の副詞」の選び方 程度副詞の恣意性 3.「時間の副詞」の広がり 「頻度の副詞」と「時間の副詞」 「時間の副詞」の表現効果 第5章 予告副詞―「ぜんぜん面白くない……」 1.「呼応の副詞」の種類 「呼応の副詞」の特徴 七種類の「呼応の副詞」 2.「呼応の副詞」の規範意識 規範意識の個人差 規範意識の調査 3.「評価の副詞」の考え方 「評価の副詞」の種類と形 「評価の副詞」と「評価を表す副詞」 第6章 検討副詞―「ぶっちゃけ、年収いくら?」 1.「認定の副詞」と話し言葉との相性 話し言葉で多い「認定の副詞」 フィラーとして働く「認定の副詞」 聞き取りに役立つフィラー 外国人が使いにくい副詞―「やっぱり」 相づちになる「なるほど」「たしかに」 思った以上の副詞―「けっこう」「案外」「意外と」 2.「限定の副詞」と取りだす感覚 「限定の副詞」のいろいろ 特立のポイント―「とくに」は語順が重要 3.「発話の副詞」「何を言うか」ではなく「どう言うか」 「発話の副詞」の種類 「発話の副詞」の留意点―予告になっていない予告、本音のリスク 第7章 副詞と印象―「一生懸命のんびりしよう。」 1.類義副詞の使い分け 言葉選びの楽しみ―引き出しを増やし、文脈に合った副詞を探す 大人の和語副詞―センスよく、精度も高く 簡潔な漢語副詞―手垢のついていない表現で差をつける 「一」のつく副詞の活用 慣用句を使う 2.誤用の副詞 混乱の起きやすい副詞 よく考えるとおかしい副詞 3.心に響く副詞 うるっとくる副詞 アスリートの副詞 逆説の副詞 第8章 副詞と配慮―「わざわざすみません。」 1.心遣いの副詞 感謝の気持ち―間接的に伝えることで効果が高まる 気持ちを強める 2.ハラスメントにつながる副詞 直接的な暴言 副詞による間接口撃 意外な一言で人は傷つく 第9章 副詞と文体―「すごく?とても?きわめて?」 1.話し言葉と書き言葉 副詞の文体差―選択を間違えると強い違和感が 漢語副詞の話し言葉化―和語よりもくだけた語感に 意味の希薄化―「ある意味」「逆に」「適当に」 畳語の副詞―「ほぼほぼ」「まだまだ」「ついつい」 2.副詞と俗語 短くなる語形―「都度」「結果」「原則」「究極」 偽悪副詞―「鬼」「くそ」「ど」「ばか」 副詞の力み―「いっつも」「とっても」「すんごく」 第10章 副詞と社会―「せっかく神様がいるのなら……」 1.異次元の副詞 「極限の強さ」を持つ人々 ライバルたちが藤井聡太を評するときの「ちょっと」 副詞に見る藤井聡太の「強さの秘密」 「いつの間にか」に示される異次元の強さ 2.政治の副詞 政府の「スタンスの副詞」 政治家の「ポーズの副詞」 マスメディアの副詞使用の問題点 3.方言と副詞 方言コスプレとしての方言副詞 方言副詞とものの見方―伝わる本音とサービス精神 全国区化する方言副詞ー「知らんけど」「めっちゃ」「まるっと」 第11章 副詞と世代―「本気(マジ)? 本気(ガチ)?」 1.副詞の意味の変化 副詞の意味そのものの変化 副詞の語感の変化 副詞の用法の変化 品詞の転換 2.時代を映す副詞 新しい副詞の出現 副詞と時代 おわりに #石黒圭#評価3 プロフィール 本かつおXFacebookInstagramLINEContact「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。