深く、しっかり息をして／川上未映子

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●なぜ気になったか

卓越した文才人の川上未映子さんは、どんなエッセイをしたためるのだろう。エッセイは未読だし、10年間のエッセイからのピックアップ、時代と表現の変化を楽しみたい

●読了感想

活字ジャンキーな僕にとって「この言葉の繋がりすばらしすぎる！」って表現に出会えるとすごく楽しい。そんな表現にいっぱい出会えた。10年前のエッセイでも古臭さを感じないのが不思議！

アマゾンレビュー

深く、しっかり息をして／川上未映子

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マガジンハウス

●心に響いたフレーズ

過去や未来の不自由さに比べて、「今」だけは、自分の努力で少しぐらいは何とかできそうだって思わない？
毎年のことながら一年の過ぎる早さにあんぐりだ
ああ、ホイットニーって歌手はまったくの別物、まさに天からのギフトやったんやな
(2012/4/26) 政治家のおじさん達にとっては「子育て」とか、あんまりにもぴんとこないんだろうけど、(中略)、少子化ってほんと、国を揺るがす大問題なのにな
「自分にはこれが似合う」「こうじゃないと」という固定観念が、はつらつとした自分のこれからの可能性をせばめているのかも
快感のツボが違うから羨ましいなと思うことはないけれど
文字通り「それがあるのは本当は難しいんだよね」という意味で、ありがとうという気持ち
何年も何年も金縛りを経験するうちに「金縛りの状態で想像したことは実現する」ということを発見してしまい、(中略)、それ以降、「金縛り、くるかも」という予感があれば「超ラッキー♪」と本気で待ち焦がれる体たらく
「俺についてこい」とか真顔で言われたら、「おまえそもそもどこ行くねん」とわたしなら突っ込んでしまいそう
オラオラ系が好きな女の子は、場合によっては自分もオラオラ言える余地を必ず残して、どうかお付き合いしていただければとそう思う
自分が大切にしてあげたいと思えるような信頼関係のある親であるならば、その親は、子どもが自分を犠牲にしてまで親のことを優先することを決して望んだりはしないだろう
夢や憧れといったものは抱いてしまうと全方位的に案外厄介なもので、成功するにしてもしないにしても、「成仏」させてやらないと、後々しんどいことになるのである
何であれ、ものごとはさきに気づいたほうが苦労するようになっているのである
しっかりと名づけすることもできないようなささやかなできごとの中に、今の自分にとっての決定的なものが含まれてるってこと、ありますよね
対等なはずの結婚相手のことを、無意識であれなんであれ、ふだんから何の疑問も持たずに「主人」だなんてへらへら呼んでいたら、ここぞというときに主体性が発揮できなくなってしまいますぜ
やってられっか！と言わずにはいられない社会の中で、そのふたつ(言葉と考え方)は、あなたはいつでも励まして、鼓舞してくれる、かけがえのない味方になる
子育てとは何か、(中略)、「自分の好きなときに眠れないこと」であるのもまた事実、(中略)、本当に暗いしあわせが切れめなく続く
ふだん顔を合わせないことで適切な距離とかろうじての思いやりを保ってきた夫婦&家族の生活が激変して、いろんなところで問題が出てきているみたい
みんながネットにあげられた情報を軽視するようになればなるほど、(中略)、ネットに存在しているというだけで、(中略)、誰も真剣に注意を払わな時代を少し夢見る
それが何であれ、「何かを選べる」ってすごくありがたいこと
(親友と)手を振って別れた。会うときも別れるときも、母や姉とそうするときと同じ気持ちになる。理由もなく、大好きなのだ
おそらく大事になってくるのは、笑顔で明るく元気いっぱい、力強く前向きに生きることなのではなくて、たとえ元気がなくたって、笑顔でなくたって、強くなくたって、穏やかにいられることではないだろうか

●目次

2011　
- 悲しみを乗り越えられるわけ
- 別れのリトマス試験紙
- 何年たってもベリーハード
  　
2012
- すべてを忘れてしまう私たちは
- もしも歌の神さまがいたとして
- 案ずるより生むが易しなのですか
- 変身願望との付き合い方
- 美人の奥ゆき
- 買い巧者?買われ巧者?
- 女子力、なんとか最後まで
- いまさらあなたは恋愛体質?
- イノセンス・バニッシュ
  　
2013
- エライんである
- 女の子の最後の魔法
- さようならイノセンス
- 名前にまつわる二、三の事情
- 孤独の最小単位って
- 金縛りのすてき
- さらば舞台
- 初めて出会うお友だち
  　
2014
- オラオラの成分
- 自分のために生きる時間①
- 自分のために生きる時間②
- アナと雪の女王
- 困難としあわせのすべてについて
- いっそすべての穴を埋めたい
- 三ヶ月だけ
- 知りあい以上、友だち未満1
- 知りあい以上、友だち未満2
  　
2015
- さよならお化粧ポーチ
- お料理地獄
- 命の前借り
- 恥ずかしジュエリー
- ヨーロッパの足
- ミケーレさまをあきらめない!
- 涙のやってくるところ
- わたしは二度、結婚している
  　
2016
- 遠くなる、大事なできごと
- こんなにも素敵なわたし
- おかしな話
- ラブレターの輪郭
- 夜のラインが見えるとき
- 主人などいない
- 彼女のような人ならとくに
- かけがえのない味方
- その女子力に用はない
- 夢のなかのレオは
- 疲れてるのはこっちだよ
  　
2017
- 冬、手袋、その他の断片
- これっていったい何なんだろう
- 睡眠の向こう側
- 四度目はありやなしや
- みみずく、美しい生き物
- 花よ、いとしいきみ
- 感じて考え、思いだす
- それは有限と無限のあいだで
- 涙がでる人
  　
2018
- 着物沼
- ひな祭りの可能性
- それは問題、大問題
- 好きなものは
- 何も届かなかった世界
  　
2019
- 息のすべて
- そのときケアが生まれた
- 夢のなかで光ってる
- 夏物語
- 素敵な夏を
- ぬいぐるみ事情
- ねえ、十年って永遠みたいだと思わない?
  　
2020
- 春の確率
- 暗い穴のあるところ
- いつもどおりにみえる初夏に
- すべてが等しく無価値に
- これもやはりひとつの真理
- 見知らぬ町で
- 文章を読むって
  　
2021
- 素晴らしい方向へ
- 体験としての、コーヒー
- 歯と笑顔
- 木っ端微塵を求むる心
- 2022
- お正月の一大叙事詩
- いつかきっとは、彼方に
- りぼんにお願い
  　
あとがき