2023.09.13 2024.10.01 読了 すばらしい医学/山本健人 本かつお 記事内に商品プロモーションを含みます ●なぜ気になったか タイトルからは内容詳細まではわからず、読みたいまでの欲は出なかったが、目次をみたら読みたい欲がムクムク。知的好奇心を刺激されるそれぞれの項目、どんな内容か知りたい ●読了感想 薬と外科医の2、3章は流し見になってしまったが、それ以外の章では、「へぇー、そうなんだ」と新たな知識を得られることに喜びを感じながら読むことができた。狂犬病は致死率ほぼ100%にはビックリ! アマゾンレビュー ●心に響いたフレーズ 立ちくらみが起こるのは、瞬間的に、重力に逆らって、送り出すべき脳への血流が不足するから 失神の原因は、自律神経系のバランスが崩れて心拍数が落ち、血管が拡張して脳への血流が一持的に減るから 三〜四歳までの幼い子どもに「眼帯は厳禁」。幼い時期に視界を遮ると、視力の成長が妨げられる(弱視になる)恐れがあるから せん妄とは、病気や外傷、手術、薬などが原因になって起こる意識の障害 鼻血はなんとなく鼻の奥の方から出ていると錯覚するが、(中略)、90%は「鼻の穴から入ってすぐのところ」から出る 歯の表面のエナメル質は、硬さを表す指標「モース硬度」によると、5から8であり、鉄(4)より硬い 口の中は、人体で「もっとも汚いエリア」の一つである。口腔内にはおびただしい数の細菌が存在。咬傷では、歯によってえぐられた皮膚の奥深くに細菌が押し込まれ、深部に感染が起こりやすい 食べ物の通り道は、口から肛門まで一本道。(中略)、人体は「たった一つの事故で、交通機能が破綻する」ようなつくりになっている。 人体にあるさまざまな「道」の交通を維持したり、再開通させたりするツールを「ステント」と総称する 吸う息は、窒素が78%、酸素が21%、二酸化炭素は0.03%。吐く息は、窒素が約78%ともっとも多く、酸素は17%、二酸化炭素が4%。実は吸う息も吐く息も素性は大きく変わらない (いつも通り空気を吸った後)、さらにどのくらい吸えるだろうか?最大限吸ってみると、驚くほどたくさん吸えることがわかるはず。(中略)、普段はわずかな量しか吸っていないのである 私たち人間は、酸素の欠乏に極めて弱い生き物。(中略)、大気中の酸素濃度は21%だが、これが16%を下回ると頭痛や吐き気などの症状が現れ、6%以下で瞬時に昏倒、呼吸が停止して死亡する 死因第六位は、「誤嚥性肺炎」。 食べ物や飲み物が空気の通り道(気道)に誤って入ってしまうこと 心電図モニターがフラットになった「心静止」に対して電気ショックは効果がないため、実際の医療現場で行うことはなく、ドラマの世界だけ 電気ショックとは、強制的に電気刺激を加えて「乱れた心臓の動きを正常な拍動に戻す」ためのもの 近年、肝臓がんが減少しつつある一方で、意外に危険性が知られておらず、その予防法も一般にあまり認知されてない肝臓の病気、「脂肪肝」が増加している 便が硬くなるのは、(中略)、大腸の蠕動運動が低下し、内容物の通過速度が遅くなり、大腸内での便の滞在時間が長くなり、より多くの水分が吸収されるため 「なくても生きられる臓器」は多い。胆嚢、大腸、膀胱、腎臓片方、胃、 膵臓。「なくても生活できる」とはいえ、全摘すると補充が必要になる物質などもあり、生活に大きな不便をもたらす 腎臓の役割「尿をつくること」は、腎臓の機能を表面的に捉えたに過ぎない。もっと正確に書くなら、「体液の量、電解質、浸透圧、pHなどの素性を一定の範囲内に維持すること」 ガーゼは「念には念を入れて注意しないと容易にお腹の中に忘れてしまうもの」である。(中略)、体内に隠れたガーゼを探すのは、うっそうと木が茂った森の中で人を探すことに近い 撲滅宣言目前の天然痘で死亡した最後の人類となった女性はジャネットパーカー。(中略)、所属する解剖学教室の真下の実験室から漏れ出した天然痘ウイルスが、気づかないうちにパーカーの身体に侵入したのである 赤血球にはヘモグロビンという成分が含まれ、これが酸素と結合したり離れたりすることで、酸素の「積み下ろし」ができる。つまり、ヘモグロビンはいわば輸送トラックの「荷台」である。(中略)、一酸化炭素を少量でも吸入すると、ヘモグロビンは一酸化炭素と次々に結合し、血液中にあっという間に浸透してしまう。「荷台」を一酸化炭素で占められた赤血球は、酸素を運搬できなくなる 東海村の核燃料加工施設で発生した原子力事故でもっとも重症だった作業員の一人は、事故の際、至近距離で凄まじい量の放射線(中性子線)を浴びた。彼の体を突き抜けた多量の放射線は、全身の細胞角内にあるDNAをバラバラに破壊した。その瞬間、ありとあらゆる細胞が分裂能力を失った。生命の設計図が失われたのだ 狂犬病は致死率ほぼ100%だが、日本ではこの事実はあまり知られていない。 (中略)、日本は世界でもまれに見る狂犬病清浄地域。日本以外では、アイスランド、オーストラリア、グアム、ニュージーランド、ハワイ、フィジー諸島の六地域しかない サリンは、(神経伝達物質である)アセチルコリンエステラーゼに結合することで、その機能を阻害する。分解されなくなったアセチルコリンは過剰に蓄積し、副交感神経をが過剰に作用し、重度の場合は呼吸停止に至って死亡する 医学を学ぶと、二つの相反する感情を抱く。一つは、「人体はいかによくできているか」と言う感嘆。もう一つは、「人体はいかに弱くて脆いか」という落胆だ ●目次 はじめに 第1章 あなたの体のひみつ 立ちくらみはなぜ起こるのか 立ちくらみの謎 自律神経の働き あなたが失神する理由 左右の目は違う世界を見ている 目をつむる実験 3D映像と現代の手術 弱視という現象 「せん妄」という意識の障害 突然の暴言 せん妄の症状と治療 鼻の中は意外な形 「鼻咽頭ぬぐい液」とは? 綿棒の挿入は難しい 鼻血はどこから出るのか? 鼻が「詰まっている」状態とは 人体のもっとも「硬い」部分を知っていますか ニンジンを木っ端微塵 歯の危険性 咬む力の「凶暴さ」 食べ物の通り道に迂回路はない 口から肛門まで 人体の交通機能の破綻 「ステント」というツール 吸う息と吐く息の違い 二酸化炭素はごくわずか 呼吸は意外にも「浅い」 非効率的な呼吸という作業 酸素欠乏の恐ろしさ 死ぬ寸前までやめることのない呼吸 喉の優れたしくみの功罪 「死因第六位」は意外な病名 もっとも恐ろしい「フタの感染症」 「喉の摘出」を行う手術 日本人がアルコールに弱い遺伝的理由 エタノールとメタノール アルコールの代謝システム フラッシング反応とがんのリスク 「心臓が止まる」とはどういうことか? 医療ドラマの気になる場面 心停止は複数の状態を含む概念 大動脈が裂ける病気 バレー選手の悲劇 異常な高身長になる病気 肝臓に脂肪が溜まる怖い病気 あまり知られていない病気 NAFLDが怖い理由 脂肪肝を治す方法 消化液の驚くべき作用 消化液は便利なシステム 胆管と膵管 時には私たちを傷つける 便の硬さはどのように決まるのか 便の硬さと「ブリストルスケール」 便の滞在時間と大腸の機能 がんによる症状の出方と便の性状 なくても生きられる臓器、生きられない臓器 臓器の役割 全摘すると補充が必要になる物質 摘出するとワクチンが必要になる臓器 腎臓のすごい役割 水を飲んでも、ラーメンを食べても…… 腎臓の重要な働き 腎臓は、ろ過装置 増えている慢性腎臓病 静脈の真相 バンザイの姿勢と静脈 血管は何色をしているか? 新しく生まれた現代の「外傷」 「ニンテンディナイティス」とは? ゲーム史を変えた新型マシンが生んだ疾患 さまざまなスポーツ外傷 第2章 画期的な薬、精巧な人体 毒から生まれた新薬 ドクトカゲと新薬開発 抗がん剤は化学兵器から生まれた 抗がん剤の効果と副作用 神と悪魔の薬 歴史を変えた抗生物質 「ペニシリン」の発見 狡猾な細菌の逃避手段 バンコマイシンという古の武器 日本で生まれた画期的な新薬 世界中で爆発的に売れた カビへの関心が生んだ新薬 アメリカの社会問題 コレステロールの働きと合成 ホルモンを世界で初めて抽出した日本人 「アドレナリン」の発見 アドレナリンか、エピネフリンか 日本史に名を残す化学者兼実業家 奇跡を起こした新薬 「物質E」とは? さまざまな「ステロイド」 副腎皮質ホルモンの働き モルヒネとアヘン モルヒネとギリシャ神話 植物と痛み止め 痛み止めの暗い歴史 爆弾の開発から生まれた薬 「死の商人」の願い ニトロの不思議な作用 ニトロはなぜ薬になるのか 心臓の薬が持つ意外な「副作用」 かつては治療薬のなかった胃潰瘍 胃潰瘍と手術の痕 潰瘍はなぜできるか? 人類と酸の戦い 創薬のパラダイムシフト ヒスタミンと「偽アレルギー」 「舌がピリピリする」 アレルギー症状の原因 抗ヒスタミン薬の開発 胃腸炎で死んでいた時代 「平均寿命」の驚異的変化 数時間で死に至る 何を注射すべきか 牛の奇病から生まれた薬 奇病の原因を探れ! 人間にも重要な薬に ワルファリンの抗凝固作用の謎 スーパーラットの出現 第3章 驚くべき外科医たち 外科治療のはじまり がんとカニ 頭蓋骨に穴を開ける 瀉血とモーツァルト 病気と臓器を初めて結びつけた医師 感染症と手足の切断 「化膿」の正体 悪い空気 切断された数々の手足 外科医と床屋 手術の早業と世界初の救急車 手術は痛みに悶えるものだった いかに素早く手足を切り落とすか 世界初の救急車 ドリトル先生のモデルになった外科医 恐ろしい好奇心 破天荒な死体解剖 産科医の兄ウィリアム 男爵になった外科医 「発酵」と「腐敗」の違い 後を絶たない傷の感染 「清潔」とナイチンゲール かつて病院はあまりにも汚かった 統計学者、そして教育者 世界で初めて胃がん手術に成功した外科の巨人 病巣を切り取るだけでは終われない お腹の中は無菌の空間 医療現場でもっとも有名な道具 コッヘル鉗子と手術 ヨードと甲状腺ホルモン 意外に知らない甲状腺の働き 人気の嗜好品だった薬物 コカインとコーラ 奇跡の麻酔薬コカイン 外科医の命がけの実験 アメリカ屈指の外科医ハルステッド 素手から手袋の着用へ 第4章 すごい手術 現代医療におけるメスの進歩 「メスください」 お腹が切り開かれるまでに見えるもの 電気メスの愛称は「ボビー」 モノポーラーと医療ドラマ 器械で腸を切って縫う 「縫う」と「切る」を同時に行う 自動縫合器の凄さ 縫合器の歴史 縫合不全という合併症 手術時のガーゼは超重要 ガーゼの置き忘れはなぜ起こるのか ガーゼを使う目的 医療と滅菌ガーゼ 無理難題への挑戦 重力で腸を移動させる 逆立ちしたときのお腹の中 重力を利用して行う腹腔鏡手術 スペース確保がしづらい患者としやすい患者 腹腔鏡手術の歴史と進歩 ロボットが牽引する新しい外科学 アメリカ陸軍と遠隔手術 手塚治虫が由来 第5章 人体を脅かすもの 悲惨なウイルス漏洩事件 天然痘で死亡した最後の人類 世界史を変えた感染症 ワクチンを生んだ天然痘 目に見えない脅威 一酸化炭素は怖い 一酸化炭素中毒の症状 長らく知られなかった肺がんリスク 急増した肺がん たばこはどのように普及したのか 日本でも爆発的に普及したたばこ 生命を完全に破壊する光線 東海村の原子力事故 放射線に無知であった人類 マリ・キュリーの功績と不運な死 放射線を用いたがん治療 発症すると必ず死ぬ病気 狂犬病は多くの人命を奪う 紀元前から知られた狂犬病 狂犬病ワクチンを生み出した救世主 テロに用いられた神経毒 地下鉄サリン事件 ニューロンの構造と伝達のしくみ 時間との戦い おわりに すばらしい医学/山本健人 created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場 Yahooショッピング #山本健人#評価3 プロフィール 本かつおXFacebookInstagramLINEContact「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。