本かつお
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●なぜ気になったか
初めて読んだ『桃を煮るひと』まったく好みが合わなかった。評価はそこそこなのになぜ合わなかったかがわからない。他の作品を読んでも同じか確認するために読みたい
●読了感想
言葉という食材で素晴らしい創作料理を食べさせてもらった感じで、読みながら「うっわぁ!」となんど詠嘆したことか。『桃を煮るひと』、読んだときが悪かったのかな、読み直してみよう
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- なーにが友達だよ。(中略)、友達だから。友達なのに。そんなつまらない絆物語に、自分の人生を添わせてたまるか
- 「友達」は多くないけれど「ともだち」は多いな、わたしは
- ひどい! と怒るには、あまりにくだらなく、くだらない! と見下すにはあまりに誠実で、誠実だったにしては、あまりに残酷な状況だった
- わたしたちは一緒に帰ろうとメールし合うでもなく、たまたま(駅の)そのプラットフォームにひとりきり同士の時だけ、弱い磁石のように引き寄せ合った
- 「課長! 至急のお電話です!」(中略)、課長もわたしと同じ星の人間である。慌てられると慌ててしまう
- そこは宝くじ売り場だった。「滅多にない不幸が起きたんだから、その分滅多にない額が当たる気がする」と、母は意気き込んだ。なんだそれ
- つらい経験の何もかもが最終的には笑い話になってしまう。つくづくわたしの人生は、行ったり来たり交差をしたりしながらも、どの線を選んでも全部当たりのあみだくじだと思う
- ふられた。(中略)、別れることはわかったので、一発だけビンタさせてもらっていいですか、と言い頬を差し出されたものの、泣いて手が震えて頬を撫でるだけになってしまった。もっと全力で、猪木ばりの一発をかましてやればよかった。でもそれができなかったのだ。それなりに恋だったから
- 「きょうの面接で『あなたの尊敬する友人を動物に例えて、そのよさを説明してください』って言われたんだけど」(中略)、「玲音(れいん)のこと、エリマキトカゲにたとえました」(中略)、「勇ましく駆け抜けていくかんじが友人とそっくりですって言ったら、面接官が笑って、受かりました」
- (船の上で働く)おりょうちゃんは言う「陸をまっすぐたくさん歩けるって、幸せなことだよ」船の端から端を行ったり来たりしているおりょうちゃんにとって、陸まっすぐ歩いて帰ることはうれしくて仕方がないらしい
- 失恋のつらさは、憎らしい相手を憎もうとするせいで、恋の真ん中にいたピンク色の自分ごと傷つけてしまいそうになることだ
- 自分の働くところにこんな素敵な先輩がいることが誇らしく、なによりの福利厚生だと思った
- 料理もできないほど仕事に追われたふりをして何をやっているんだろう。人生で重要視するべき項目を考え直さなければと思った。エプロンを買って料理をしよう。(中略)、厨に立つことのほうがまずは大事だ。そうだったそうだった。
- 連載時、「実話ですか?」と訊かれることが多かったのですが、それだけ他人から見るとうそみたいな本当の生活を送っていると思うとぞくぞくします
●目次
- うたうおばけ
- ミオ
- アミ
- まみちゃん
- Sabotage
- パソコンのひと
- 内線のひと
- 瞳さん
- 謎の塚澤
- 暗号のスズキくん
- 物理教師
- 回転寿司に来るたびに
- 雪はおいしい
- 一千万円分の不幸
- 八月の昼餉
- イナダ
- 不要な金属
- かわいいよね
- 冬の夜のタクシー
- ロスンスカーの思い出
- 抜けないボクシンググローブ
- からあげボーイズ
- エリマキトカゲ
- きぼうを見よう
- 秩父で野宿
- うにの上
- まつげ屋のギャル
- 桃とくらげ
- ひとり占め
- クロワッサン
- 終電二本前の雷鳴
- 白い鯨
- バナナとビ二ニ
- わたし vs ふきちゃん
- 死んだおばあちゃんと死んでないおばあちゃん
- 喜怒哀楽寒海老帆立
- 山さん
- あこがれの杯
- あとがき
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。