読了

「おひとりさまの老後」が危ない!/上野千鶴子、髙口光子

本かつお
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●なぜ気になったか

今後の日本の介護が気になる。第三章「生産性」に潰される現場の努力、第四章 介護崩壊の危機、漠然とした不安を具体的な不安とすべく読みたい

●読了感想

読んで、「在宅ひとり死できたらいいな」から、「在宅ひとり死するぞ!」という気持ちになった。好きな自宅で、脳内麻薬のエンドルフィンをいっぱい出し、微笑み顔で死を迎える準備をしていこう

アマゾンレビュー

●心に響いたフレーズ

  • 2023年の史上最悪の介護保険改定案→自己負担を原則1割から2割へ、要介護1・2を介護保険から外す、ケアプランの有料化、福祉用具の一部をレンタルから買い取りへ、施設にロボットを入れて職員配置を減らすなど。 自己負担率の増加やケアプランの有料化などはすべて先送り
  • 戦略の間違いを戦術で補うことはできない。戦術の間違いを戦闘で補うことはできない
  • 集団処遇っていうのは、文字どおり、食事・排泄・入浴を一斉に集団で行うこと
  • (介護職員のお年寄りに対する)好き嫌いはあって当然じゃないですか。それをお年寄りを嫌いだなんて思っちゃいけないというほうが、人を抑圧することになる
  • みんな同じとか、画一性を管理者は求めがちになるけれど、そういうことをしていると、思考停止に陥って、結局、人を育てられないし、働きにくい職場になっていく
  • (人材派遣業の研修で)いつも言うのは、あなたたちの扱っている商品は生ものですから、生ものは生ものらしく扱ってください、扱いを間違えると腐りますから
  • 理想というのは、なんと小さく弱々しいのかと。事故が起きるよというのは、「現実」なんです。現実というのは声が大きくて、迫力があって、強い
  • トップの方針がいいかげんだと話し合いも成立しない。(中略)、トップが方針を言い切って、対立を生むということは大事
  • 2020年春に、厚労省は(介護職には)無資格ヘルパーを使っていいという(驚くような)通知を出した
  • 最終的には(介護)施設解体に行き着いてもらいたいぐらいの気持ちです。現に福祉先進国の北欧諸国では、施設解体の動きが進んでいます
  • 政府としては、(介護保険)制度の持続可能性が錦の御旗。もっと露骨に言うと(介護保険の)利用抑制
  • マニュアルとかテクニックというのは、どれだけ情報を脱人格化するかの手段です。人格から分離して、代替可能にするという組織の仕組みなんです。(小規模施設であるデイケアハウスにぎやかなどの)富山型にはそういうマニュアルはない
  • 富山県小規模多機能デイサービスは最初、(介護保険)制度の中にないメニューでした。制度の中にない事業を、彼女たちがオリジナルで作った理由は何か。なぜなら、そこにニーズがあったから
  • 悪い条件の中で、よい介護を維持して、黒字を守るということ(中略)は、一歩間違ったら、罪つくりになりかねない。現場のプロフェッショナルの誇りが制度の改善をはばむ
  • よい嫁は福祉の敵
  • 認知症になったら周りに迷惑をかけたくないので施設入居が当たり前、という思い込み。(中略)、問題は施設入居以外の選択肢が知られていないことです。選択肢が増えていることを、利用者だけでな介護現場の人も知らない
  • 看取りに医者はいりません、医者の役割は死亡診断書を書くだけ
  • 「うちの親は片側麻痺です。私は同居できないけど、本人が望む場所で、一人で暮らしています。本人は一人暮らしで落ち着いています。(中略)、死に目には会えないかもしれないけれど、親が最期まで好きなところで好きなように暮らせるなら、私はそれでいいと思います」が、おおらか言えるようになればいい

●目次

  • はじめに
    • 介護保険の転換期に_髙口光子の解雇から見えるもの 上野千鶴子
       
  • 第一章 私、クビになりました_介護保険の危機
    • 「年寄りは生き延びるためには何でも言うんや」
    • 老人病院での「不幸くらべ」
    • 看護師からの反発
    • 経営者の生産性と組織防衛によって起こった解雇
       
  • 第二章 こうして私は介護のプロになった
    • 介護アドバイザーという職業
    • 集団処遇からの脱却
    • 入浴委員会
    • この人が好きと言っていい
    • 公平さが生む画一的な労働
    • あっというまの介護の崩壊
    • 介護と看護の対立はなぜ起こるのか
    • 生活支援の場の専門性とは何か
    • 全職員が介護職に
    • 介護職の発信力
    • 経験者より新卒
    • 「縛ってください」と言う家族
    • 厨房も事務職も夜勤に
    • 施設経営の落とし穴
    • 赤字の原因
       
  • 第三章 「生産性」に潰される現場の努力
    • 居室へのカメラ設置
    • 思わぬ大病
    • 入浴事故
    • デイの閉鎖と虐待通報
    • 施設の隠蔽体質
    • 生産性の追求が生んだ事故
    • 職員に蔓延するずさんな対応
    • 虐待を認めない施設
    • 急転直下の人事
    • 代表による追い出し
    • 解雇通告
       
  • 第四章 介護崩壊の危機
    • 介護崩壊の分岐点
    • コロナ禍でのケアワークの見える化
    • ヘルパー裁判
    • 施設は誰のため?
    • 小規模施設の未来
    • 悪循環を生むもの
    • 現場が声を上げなければ介護は崩壊する
    • 在宅介護の限界って?
    • 質の悪い介護がなくならない理由
    • 日本で静かに始まる「PLAN75」
       
  • おわりに
    • 私が今言うべきこと 髙口光子

プロフィール
本かつお
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。
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