本かつお
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●なぜ気になったか
『汝、星のごとく』は夢中になって読んだ。そのスピンオフストーリーとなると、読まずにいることは人生での楽しみをひとつ失うことになる。裏で起こっていたことと後日談、読みたい
●読了感想
これまた夢中になって読んだ。すばらしい。『汝、星のごとく』のその後、よくぞここまで創り出せるものだ。時間が経つことで熟成されたさまざまな人間関係、未完結だった僕の中での『汝、星のごとく』、これで完結した
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- 大半の奨学金はもらえるわけではなく、返済しなくてはいけない。若者が学ぶために借金をしなくてはいけないこの国に疑問を抱いた
- 自分の思い通りに生きられる人間なんて一握りだろう
- 不幸自慢は相手の口を塞ぐ。貧すれど鈍したくはない
- 与えられる「恵み」が、きみの望む「恵み」だとはかぎりません
- わかり合えない苦しみが憎悪に転じるくらいなら、見ないふりで距離を取ったほうが互いに楽だし平和だろう
- 理想的だと思えた。自分のためだけでは息切れするし、周りの人たちのためだけでも満足できない。料理を回すことで人は強く、高く、翔べる
- 今の時代、善であることと弱者であることは、ときに同じ意味を持つ。天秤はいつだって不条理に揺れ、与えた情けの分まで正しく測られることは稀だ
- 苦労は経験値を上げるが、その圧の分、心を歪ませる
- わかりません。あなただけでなく、他人のことは基本的にわかりません。ぼくにわかるのは、親の願いどおりに生きることができない子供が味わう苦しみです
- 別に人がいいわけじゃない。手を尽くさなかったことで、ぼく自身が後悔したくないのだ
- いくら優秀でも、血の通わない仕事をする人は好きじゃない
- 主語を大きくした議論はやめようよ
- 字が下手なのは昔からのコンプレックスで、けれどどうしても伝えたい心があるときは直筆と決めている
- 昔から女性に求められるものと、現代の女性として求められるものとのギャップをどう埋めるか。それがあまりに個人の裁量任せになっている
- 恋人としてのわたしは彼が好きで結婚したいと思ってる。なのに仕事をしているわたしがストップをかけるんです。ほんとにそれでいいの、よく考えてって
- 追いかけるのをやめたら、それが本当の夢の終わり
- 矢を射るほうに自覚は無いだろうが、小さな矢でも千本射れば相手は血塗れになる。下手したら人生ごとねじ曲がる
- 「疲れたねえ」、同時につぶやき、お互い笑った。こういうタイミング合う人は貴重だ。疲れちゃうよね、いやんなっちゃうよね、でもがんばらないとね、と交わしし合う
- 質問に質問で返すのはずるい
- 愛はどこまでもパーソナルなもので、逆に『瑕疵』や『不完全』こそが、最後まで心に刺さって抜けない甘い棘になるのかもしれない
- いかに自分らしく生きたか、最後に残るのはそれだけよ
- わたしを誕生させてくれた両親に深く感謝している。けれど、ただ生まれ与えられるだけでは、人は人になれないのだと思う
- 的外れ、プラス勝手な決めつけ。それもしかたない。自分の価値観の中で整合性の取れる物語を作る、それが一番簡単で気持ちのいい他者への理解の方法だから
- 結ちゃんは正しい。けれど正しさだけでは救われないのが人の心だ
- 家族という器は頑丈ではなく、ちょっとしたことでヒビが入り、大事に扱っているつもりが、いつの間にか形が歪んでいることもある
- 櫂への気持ちは恋愛という意味での愛情で、北原先生とは暮らしを共にするパートナーとしての情愛。種類が違う
- 幼いころはどこか怖かった父親だけれど、強くあらねば、自分が家庭を支えねば、という男性の呪いにかかっていたのかもしれないと、大人になった今では思う
- 「きみは今のほうがいい顔していますよ。ぼくはとても好きです」、わたしは返事に困り、ありがとうございます、と小さな声でお礼を言った。この人は普段は朴念仁に近いのに、たまにこういうことを言うので困る
●目次
- 春に翔ぶ
- 星を編む
- 波を渡る
- 北原暁海 三十八歳 夏
- 北原草介 五十二歳 夏
- 北原暁海 四十三歳 梅雨
- 北原草介 五十七歳 夏
- 北原暁海 四十七歳 冬
- 北原草介 六十一歳 夏
- 北原暁海 五十八歳 夏
- 北原草介 七十二歳 夏
- 北原暁海 五十八歳 夏
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。