本かつお
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●なぜ気になったか
本書も本屋大賞にノミネートされるのだろうか。大賞受賞とノミネート3年連続達成の町田そのこさん、本作もおもしろいに違いない。期待は裏切られないと信じて読んでみよう
●読了感想
章の構成立てが相変わらずうまい! この先どうなるどうなる、と一気に読了。やはり期待は裏切られず楽しめた。時代を的確に捉えていて、そうそう今の時代ならこんなハッピエンドもあるよねと思わせられた
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- イギリスは曇りか雨の日ばかりだと聞いたことがあるけれど、わたしの心はイギリス領になったのだと思う。晴れ間がほんのときどきしかない。かつてはちゃんと、四季に似た変化があったり快晴の日々があったりしたはずなのに
- 自分でケツ拭ける大人の生きざまに口出しなんてできねぇでしょう。見ているだけだった俺たちは否定なんてできないし、しちゃいけねぇ。褒めて労わる時間を過ごすしかねぇ
- 無邪気に喜ぶには、わたしはいささか年を取りすぎていた。結婚としあわせの間にイコールが必ずしもあるわけでないことくらい知っている
- (娘は)、「ママは絶対反対しかしないから、決まるまで黙ってたんだってば」と嫌な目を向けてきた
- 娘は恋愛が絡むとやけに演技がかった言動になる。恋や愛に奔走する自分、というものにうっとりしているのだ
- どうしてこのひとは成長しないのだろう。いや、期待する私が愚かなのだろう
- 彼に対する様々な感情や思い出を、段ボール箱にひとまとめにして押し入れの奥に仕舞うように、無理やり忘れた
- 私は恋愛も結婚もうまくいかなかったかもしれないけど、でもあなたっていう子どもと出会えたから、全部間違えてたわけじゃないんだなあ
- 一緒に生きていくために大切なのは「しあわせせな瞬間」だけではなくて、「相手のしあわせを考える時間」も大事なんだよ
- 「お互い、若かったよね。そういうまとめは雑かもしれないけど、そういうことにしようよ」覚悟のない若いふたりが、うまく生きられなくて、ただお互いを傷つけあってしまった。それだけだ
- ひとはいつ、大事なことに気付くかわからない。気付けるその日まで、自分なりにもがくしかない
- 自力で見つけたものだけが、(他人の)万の言葉よりも自分を納得させるものだよ
- 高校を卒業して以来ほとんど会っていなかったというのに、顔を合わせた瞬間にあるべき位置に戻った気がした。「それは、心に居場所を残しておいてくれてるんだよ」
- そのひとが正しいと思ってやっていることを、私は私の感覚だけで否定したくない。誰かの意見に左右されたくない。そのひとと向き合って、話を聞いて、理解する努力をしたい
- それくらい、って言わないで。自分がそうやって簡単に言い捨てたことが、相手の大切なものだったりするんだよ
- 最初のころの浮かされたような熱情は次第に収まり、代わりに温かな空気がわたしたちの間に横たわるようになった
- ひとは弱っているとき、誰かが傍にいてくれるというそれだけで安堵するものなのだ
- 「お義父さん、いまごろお義母さんのところかなぁ」沙織さんが言う。こうなってしまえばきっと、ダッシュで向かったと思うんですよね。毎日仏壇に話しかけてましたもん
●目次
- 一章 見送る背中
- 二章 私が愛したかった男
- 三章 芥子の実
- 四章 あなたのための椅子
- 五章 一握の砂
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。