本かつお
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●なぜ気になったか
南極用水中探査機の開発と観測体験の記録。元エンジニアとしては、どんな困難が立ちはだかりどう乗り越えて目的遂行したのか、今すぐにでも知りたくてしょうがない
●読了感想
僕にとっては、自らが技術者として南極に行けた気持ちになれた贅沢な読後感。凍死直前の状況がサラッと書かれてあったり、探査の進展がどうなるかドキドキして気になる内容で楽しめた
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- マリアナ海溝最深部では、1平方cmにかかる圧力は1トンを超えるのである
- しらせは海上自衛隊の艦船であることから、長い航海でも曜日感覚を保つために、毎週金曜の昼食はカレーと決まっている
- 南極の上空には、オゾンホールが存在し、日本にくらべて大量の紫外線が降りそそぐ。(中略)、度を過ぎると火傷のように皮膚がただれるほどになる
- (南極からの)復路は「燃え尽き症候群」に襲われるといわれていたが、意外と私は平気だった。その理由のひとつが、(中略)、今回のROV観測で得られたデータの整理に追われたことだろう
- 「ロボット工学者が、南極に何しに行くんだ?」(中略)、オマエの技術力が未熟だから、オマエが南極に行きたいだけだろう? そう言われてるように感じ、モヤモヤと考えをめぐらす日々が続いた
- どの分野でも極めるには苦労がつきもので、そこにはタイムパフォーマンスもコストパフォーマンスも存在しない
●目次
- プロローグ 超深海の世界から
- 1章 深海ロボット、南極をめざす
- 1 深海に潜ったら、南極が見えてきた
- しらせの模型に導かれるように
- いつか南極に行きたい
- 深海探査機を自作するには
- 南極のスペシャリストとの出会い
- 動きだした南極用ROV開発計画
- ロボット屋だけど生物屋
- 2 南極用ロボット開発、始動
- 使える機器を、安く、早くつくらねば
- 南極ROV用ケーブルを共同開発
- ひょんなことから超有名時計の開発者と知りあう
- カシオのG-SHOCKがROVと合体?
- 謎の単語が飛びかう南極会議
- 昭和基地じゃなくて野外で寝泊まり!?
- そもそも南極地域観測隊とは
- 水中探査機ミニ講義
- 水中探査機開発史
- ROVを動かす基本的な原理
- ROVの基本構造
- 3 ROV完成からはじまるつぎのステージ
- 南極用ROV、ついに完成
- 南極チームは家族のような存在
- 新たなステージは、冬山での訓練から
- クマの恐怖と寒さに震えながらの野営
- 怒涛のスケジュールで「夏訓」をこなす
- 2章 深海ロボット、南極に立つ
- 1 いざ、南極へ
- しらせとの2週間ぶりの再会
- しらせに持ちこみたい旅グッズ
- いざ、出港!
- 大忙しの往路
- 食事だ! 祭りだ!/
- 荒れ狂う暴風圏に突入
- 上陸前の一大イベント、怒涛の糧食配布
- 彼方に南極大陸が見えてきた
- 南極の景色は想像とはぜんぜん違った
- 2 ようこそ、きざはし浜小屋へ
- いよいよはじまるきざはし浜生活
- 卵・パン事件、発生
- 恐るべき南極の紫外線
- スカルプスネス探検隊、南極の岩山を歩く
- わいわいドタバタのクリスマスイブ
- 3 嵐のなかの南極生活
- 氷床と岩が混在するスカーレン
- 恐れていたことが現実に
- この過酷な場所で年越しを?
- しらせへの一時退避
- これぞ南極、ブリザード襲来
- 3章 深海ロボット、南極で潜る
- 1 南極調査用ROV、ロールアウト!
- 自作ROV、南極・長池に初潜入
- コケボウズとの初対面
- 山上の湖・くわい池の調査
- 仏池のコケボウズに潜む謎
- オーセン湾を探査せよ!
- ひとつの仮説と新たな目標
- ROVの分解修理を決断
- 2 南極で水中ロボットにしかできないこと
- 水中ロボット工学者の役割とは
- 南極で、まさかの風邪をひく
- トホホなありさまで、あこがれの昭和基地へ
- もう、きざはし浜にもどれない?
- ひとまず、しらせへ帰艦
- 復活!ふたたびのきざはし浜へ
- 長池で発見した水深10mの「境界」
- 3 南極をあとにして
- あわただしく過ぎていく復路の日々
- 出発から4か月、ついにシドニーに帰港
- 南極はいまもそこにある
- エピローグ 南極へと続くそれぞれの物語
- 現場を知らずして、有用な技術は生まれない
- 南極は、それぞれが得意分野で挑む場所
- 南極への扉はいつも突然に
- いざ、新たな難題が待つ南極へ
- あとがき
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。