本かつお
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●なぜ気になったか
出会い系サイトで会った70人に本をすすめまくった著者が、著名な方々とされた対談集。ゲストの個性に対し、一風変わっていそうな著者はどんな受け答えしているのかに興味がわく
●読了感想
自分を持っておりいろいろ考えられている人同士の対談で、共感できるものできないものがありおもしろかった。一冊ピックアップされたそれぞれの方の著作も、読んでみたくなったものが多く有益だった
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- 「子どもの寝顔を見ると疲れが全部吹き飛ぶって聞いてたけど、全然吹き飛ばないじゃないか!」って、自分で子育てを経験してみてわかった
- 社会が不幸になるということと個人が不幸になるというのは別の現象
- まあ限度はあるにせよ「あんなふうになりたくない」と思われる押し付けをすることもひとつの教育かな
- これだけ世界が変容した今は、多様な価値観にどれだけ出合ってきたかっていうことが大切
- 家事をやっていて外とつながる仕事をしていないと自分だけが取り残されてしまって損に感じる。けれど家事を減らすことを考えたり無駄だと捉えるのではなく、家事をがっつり考えることで取り返してやる
- 主婦も主夫も介護者もニートも社会人ですから。だから社会参加とか社会復帰って言葉を使うのはおかしい。家事が社会から外れているものではなくて、社会を作っているものだと考える世の中にしたい
- 雑談が人を人たらしめる。(中略)、家事の中には雑談がないっていう問題はけっこう大きい。大人との雑談がない
- お笑い芸人さんがやってるような深夜の2時間くらいの(ラジオ)番組って、聴き終わったらもう忘れてるような内容なんだけど、でも重要な話を2時間聴くよりもその余白のようなものが心地いい
- 私は産むのはちょっとやってみたいけど育てたくはないから、産んで姉に育ててもらったらいいんじゃないか、っていうのをわりと真剣に妄想していた時期があった
- エンパシーは辞書だと感情移入・共感などと記述されていますが、(中略)、エンパシーって実はヤバいんだぞ
- 日本ではクリエイティブな子ほど叩かれ続けるから、傷が深いし生きづらいでしょうね
- (イギリスでは)、自ら考えて行動するっていう点でいえば、うちの息子だけじゃなく、息子の友達もみんなそう。もう大人だし自分の意見をちゃんと持っている。だから子ども同士の話を聞いていても面白い
- 自分が自分であることとか、他者に支配させないということを学ぶ機会が、日本でもイギリスの100分の1ぐらいでもいいから与えられてほしい
- 「こんな社会だめだ、私が私を生きられない」とか、「この家庭だめだ、私が私を生きられない」とか、「この組織だめだ、私が私を生きられない」と思ったら、逃げていいと思う。これは大事
- 「どうすべきか」とか「何ができるか」って、それぞれの事情とか置かれた立場によって、みんな違うので。その個々人の事情を無視して「こうすべきだよね」っていうのは、私自身は言いたくない
- 立場の弱い人たちほど、自分がこうしたいとか、これをやりたいということに対して、鬱陶しいぐらい説明を求められる
- 今の政治の気持ち悪さと全部つながっていく感じがしますよね。そう、私たちはほんとうに気持ちが悪い時代を生きている
- 人にものを頼むときは「お願い」が必要なのであって、夫が妻に何かを手伝わせるっていうのは決して自然なことではない
- 今の社会は感情の整理がつかないものは嫌われるし、感情の整理がつきやすいものが好かれる傾向にある。映画やアニメでも「ここで泣いてください」「ここで感動してください」というかたちで、感情の持って行き方が整理されているものがヒットしている
- 本って視覚的な表現だと思われがちだけど実は音楽に近くて、一文字一文字が音符。それが一本の線でつながっている。本って楽譜
- 東京って異常な都市だった気がする。(お金を)使わないでいたら意外と欲が消えてきた。(中略)、東京は昔より貧しくなった分、小銭を搾り取るのがすごくうまくなっているなと感じる
- 困りをオープンにしていくと、人とつながったりもするし、助けてもらえることが多い
- 今の日本社会の中では逃げることが重要なアクションで、一見それはネガティブにも感じられるけど、実は能動的で、世界を変えていくためのアクションでもある
- 「自己責任」と「人に迷惑をかけたくない」という意識が染み付いてしまっている人は多い。この二つはほんとうに呪いのワードだと思う
- 「他にもっと苦しい人がいるのだから」という言葉は、一見謙虚のように感じるけれど、もしかしたらその考え方は、ときには自分より小さい被害なのに自分よりも苦しみを主張している人を戒めるようなニュアンスにもなってしまうかもしれない
- 「何か困ったことがあったら言ってね」じゃなくて「これやるね」って先に言ってく「べき」という言葉は自分が言われるのが嫌なので、意識的に使わないようにしています
- 「頑張らないほうがいい」というようなSNSの同調圧力には慎重になってほしい。(中略)、馬鹿正直な人が「頑張らない」という風潮に合わせてしまって結果的に自分の可能性を潰してしまわないといいな
- 地元の新聞に書評を連載していたときに、漠然と書くよりは具体的に読者を思い浮かべて、その人に語りかけるようにするほうが書きやすいんだなということを知りました
- 10年前の本で今読んでも古さを感じさせない本っていうのは、本物
- 「人それぞれじゃん」って結論づけられてしまうとき、「どうでもいいじゃん」の、ほとんど言い換えの言葉。それはやっぱり寂しい。(中略)、「そんなの人それぞれでしょ」と答えてしまったら、一見それは事実のようですが、頭の中で何も思考が膨らまないまま終わってしまいます
- 「ご苦労さまです」という言葉なんて、(中略)、ねぎらいを伝えたくて差し出される言葉だったのに「失礼派」の人たちの迫害を受けて、今ではほとんど使うことができなくなってしまいました
- 減点されない日本語がいい日本語であって、それが書けたらOKという。でもそれだとつまらない。基本的には自由に書いていい、とにかくあなたが思っていることが100%伝わればその経路はなんでもいい
- 人には「間違う権利」もある、ってことは大事だと思っていて。痛い目から学ぶという、その人固有の経験の機会をあらかじめ奪ってしまうのもどうなんだ
- 考えに同意はしなくても「こんな考え方もありなんだ!」と知ることが気づきになるし、自分の思考の扉になっていく気がします
- 私が好きな本。それは、特定の作家やジャンルではない。世の中で当たり前とされていることを疑い続け、何かをひっくり返して社会を今よりいいものにしようとしている人や、人生において苦しみが発生したときに決して思考停止することなく、自分のことも他者のことも理解しようともがき続けているような人。 そういう人が書いた本が好きだ
●目次
- はじめに
- ヨシタケシンスケ(絵本作家) 大人だって完璧じゃない
- 窪美澄(作家) 子持ちの恋愛
- 山崎ナオコーラ(作家) 家事と生産性
- メレ山メレ子(エッセイスト) 恋愛の教科書がない時代に
- 田房永子(漫画家) 家族という呪縛
- ブレイディみかこ(ライター・コラムニスト) エンパシーの鍛え方
- 荒井裕樹(文学者) マイノリティーと人権
- 岸政彦(社会学者) 「聞く」って難しい
- ひらりさ(文筆家) 推しとお金と私
- 東畑開人(臨床心理士・公認心理師) 心を守るには
- 西加奈子(作家) 助けを求める
- 植本一子(写真家) 家族について書くということ
- 大前粟生(作家) そもそも恋愛って何?
- ジェーン・スー(コラムニスト) おばさんを楽しむ
- 吉田貴司(漫画家) 男と女のすれ違い
- 岩田徹(「いわた書店」店主) 小さな書店が生き残るには
- ツレヅレハナコ(文筆家) コロナ禍と食
- 永井玲衣(哲学研究者) 手のひらサイズの哲学
- 飯間浩明(国語辞典編集者) 言葉を楽しもう
- ライムスター宇多丸(ラッパー・ラジオパーソナリティ) 人生相談に正解はない
- おわりに
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。