2024.01.17 2024.10.01 読了 静かに生きて考える/森博嗣 本かつお 記事内に商品プロモーションを含みます ●なぜ気になったか 僕はいろいろ考えてしまうタイプ。最近思うこと、「考える」ことをしない人生のほうが幸せなのではないだろうか? そんな考えに対するヒントが書いてないか読んでみたい ●読了感想 共感できたり心に響くフレーズが頻出し大満足な読後感。森さんの考えが少数派と自覚する僕の考えと同じで、世の中同類が存在することを知れたのも大収穫。森さんの過去の著作、読みあさるとしよう アマゾンレビュー ●心に響いたフレーズ インターネットが普及し始めた頃、そこには本当に貴重な情報が集まった。(中略)、今のネットはどうだろうか? とにかくうるさい。やかましい なにかもやもやするときに、深呼吸をして、身近にある自然に目を向けてほしい。(中略)、あなたは、静かに生きることができるはず 読書は趣味というよりは日常。(中略)、面白くても、面白くなくても、必ず全部読む。面白くないものも、何が面白くないかを考える材料になる こんなに自由で、ひっそり静かに生きられるようになったのは、何のおかげだろうか? それは、結局、周囲のあらゆる「柵(しがらみ)」を断ち切ることができたからだろう 他者のことを気にしない、というだけで、孤独になれる。孤独になりたい、とまず望むことで、この静かな自由が楽しめる ゆるゆるの計画に沿って、地道にこつこつと活動すると、じわじわと理想へ近づくことができ、この状況を「自由」と定義している。(中略)、人それぞれに違う自由がある 人間は何故生きているのか、と問われれば、僕は「生きるのが趣味です」と答えるのが適切だと考えている 孤独は最悪って、本当にそうだろうか? (中略)、孤独とは、静かでのんびりとして、ゆるぎのない幸せを感じさせてくれる時間のことではないだろうか (多数の人間に関わる社会において、不自由や不満の)根本的な原因は、自分以外の人に期待している点にある 自分の楽しさを他者に求めることは、若いときほど多い。(中略)、変だなと気づく人は、しだいに喧騒から遠ざかり、自分の楽しみに出会うことができるけれど、気づかないまま歳を重ねると、孤独な老後が待っている 僕は工作が大好きで、いつもなにかを作っている。(中略)、完成するよりも、製作途中の方が面白いし、それ以前の構想も楽しい 組み立て説明書のとおりにものを作る行為は、(アウトプットをしたつもりになれるが)むしろインプットに近いもの 今のところ解決策がない。そういう状況こそが、人間が能力を投じる対象であって、それこそが、毎日の楽しみでもある 「どうでも良い」は、「こうであるべき」よりは幾分好ましいように感じている ついこのまえまで、「〜しかない」という表現は否定的な意味だったけれど、今では賞賛の言葉として広く使われている。スペシャルなことが価値を持つ時代になった象徴 どうでも良いことほど、人生にとって大事なものはない。なにしろ、生活のほとんどは、どうでも良いことで埋め尽くされている なにかを成し遂げようと力まない方が良い、そんな「生き甲斐追求」に拘らず、まずは自分自身を諦めるところからスタートすると、気持ちが楽になる 謝ることが問題解決だという勘違い 謝罪するところを見せられても意味はない。それは解決ではない。そんな暇があったら、そのミスが起こらない方策を早急に決定すべきである 気持ちはわかる。ただ、気持ちがわかるというだけで、それが正しいかどうかはまた別問題 思い出は、誰かが用意していて、そこから選ぶようなものではない。(中略)、なんとなく、自分の生き方を続けているうちに、自然に、そしていつの間にか、自分だけの引き出しに仕舞われるもの 言葉を覚えて、知ったつもりになるのは、子供の頃のテストが原因かもしれない。テストで点が取れることが「知識」だ、と認識している人もきっと多い 同じことをしていても、毎日違うことを考えられる頭を持っていたい 「安易に人の意見やデータに飛びつくな」ということ。どのような条件で観測されたものかを、いつも疑ってみるのがよろしい 褒めることは、叱ることよりも簡単。(中略)、叱ることは、難しい。特に、怒らずに叱ることは非常に難しい 不要なものを捨てて、シンプルになった。心配事はなく、不安もない。明日死ぬことになっても、なにも思い残すことはない 子供が、どんなものにも興味を抱くのは、なにも知らないからである。すなわち、「無知」という強みを持っている わからないことを沢山抱えている状態は、けっして悪くない。むしろ、心踊る楽しさに満たされる 生きる喜びというのは、大雑把にいってしまえば、日々の充実であって、もっと簡単に言えば、自己満足である 人生は、戦いでも競争でもない、と思うだけで、生きやすくなるだろう 日本人は、老人がなかなか職を退かない。(中略)。自分が生活するのに必要な分だけを稼がせてもらう、と言う控えめな意識、働くことへの後ろめたさがない 自由を感じるのは、結局は、楽しいことに向かって考えているとき 「異常気象」という言葉がずっと使われている状況だから、すでに「異常」ではなく「通常」である (工作をしていると)だいたい、なにか不具合が見つかる。このようなトラブルがあると、嬉しくなってしまう。(中略)、これを解決するのも楽しみの一つだから 僕の親父は、子供の頃の僕に「頑張るな」と教えてくれた。そういう捻くれた人だった。(中略)、どうして「頑張るな」なのか。それは、「無理をするな」ということ なにかの問題で行き詰まっているときや、新しい発想が必要なときなどは、頑張らない方が良い。(中略)、なにものにも増して大事なこと、それは「余裕」である 普段から、沢山の視点で物事を見る癖をつけていれば、発想は生まれやすくなるだろう。(中略)、自分の視点しか持っていない人、自分の気持ちしか考えてない人は、新たな「発想」ができない 自分と同じ視点の観察や意見を集めるのではなく、自分とは違うものを尊重することで、正しい判断につながる可能性を高められる 自分一人で作業に没頭する。「上等な孤独」の時間は、幸せを感じさせてくれる 「どうしてこんなミスが起きたの?」と質問すると、そのミスを責めているように受け取られる。(中略)、ただ、ミスが起きた原因が知りたいだけなのに、相手は「すみません」と謝るばかりで、こちらの疑問に答えてくれない。だから問題を解決できない アドバイスをして、その人を助けようとしているのに、結果は反対になる、とい言う経験を何度もした。僕が学んだことは、個人的なアドバイスには注意が必要であり、まずは本人が本当に問題を解決したいのかどうかを確かめた方が良い、という教訓だった 世の中なにかと面倒なのである。言葉を言葉どおりに受け止めてくれるだけで、物事は簡単になり、誤解も減るのになあ、としばしば思う 本来、意見には正しいも間違いもない。意見は個人のものであり、その人にとっては正しいけれど、誰にとっても正しいわけではない。正しさなんてものは、所詮その程度のものである 問題が発覚したときの「謝罪」(中略)、頭を下げ、反省している、申し訳ない、とお詫びの言葉を述べても、もちろん問題は解決しない。(中略)、謝罪することが、その時点で本人にとっては最も簡単な方法だというだけである できるだけ多くの意見を受け入れ、よく考えること。(中略)、そうすることで、自然に問題は薄れていく。ゆっくりと、自由や幸せに近づくことができるだろう 簡単で気楽で、のんびりできる自由も良いけれど、難しくて面倒で、いらいらしながら考える時間も楽しい。どちらかに偏っているのではなく、両方あった方が良い 変化を嫌う人は、「自分はこういうものなのだ」という方針を前面に出してくる。(中略)、頑なさを維持しようとする。(中略)、これは別の言葉にすると「妥協」あるいは「諦め」 ●目次 第1回 やかましい世の中でも静かに生きたい 静かな日常の具体例 いつの間にかやかましい世の中になった 矛盾を抱えて生きる 第2回 一人で楽しんでいることいろいろ ドライブが好き 読書は趣味というよりは日常 ゲームはしなくなった仕事をきかれたら「無職です」と答える 第3回 もう充分に生きただろう 今はロスタイムだと認識している 欲しいものはもうほとんどない ガラクタに囲まれて暮らしている 犬が家族 第4回 のどかさにかまけて 忙しさの本質について 仕事って、本当に忙しいのか? 自由というのは、本質的に忙しいものだ 第5回 五月が一番夏らしい季節 常夏の国というのは何が良い? 生きていることが無駄である 誰とも戦わない贅沢 第6回 思いどおりになる楽しさ 毎日、楽しいことばかりで大変 予測が当たる楽しさ 小さな喜びを感じるためには? 無邪気ではないから美しい? 第7回 単なる移動による幻想 スキャナとプリンタを買った 部屋の整理をする理由 整理をしても価値の増減はない 第8回 インプット過多の社会 漫画だって読みますよ アウトプットをさせない現代 なにもかもがキットやパックになった 第9回 こんなふうに生きようと考えたことはない 影響を受けたものを語りたがる人たち 現在抱えている問題を語る人は少ない この人の生き方に感銘を受けた、という経験はない 第10回 ジェネラルからスペシャルへのシフト ジェネラルなものが衰退する? みんなと同じが良いという価値観 これからのコミュニケーション 蛇足 第11回 どうでも良い話をしなくては 何色が好きか問題 綺麗とか美しいとか意識とかも どうでも良い人間だから 第12回 とにかく頭を下げる文化について あなたを責めているのではない 謝ることが問題解決だという勘違い 機嫌を取ることだけに神経をすり減らす人たち 第13回 マスクとワクチンはどちらでも良い マスク問題はどちらでも良い ワクチン問題もどちらでも良い 大勢に訴えようとする理由は? 人に会わない、人と直接話をしない 第14回 中古品と仕掛け品の人生 材料と部品を工面し工夫する ジャンクに目を輝かせる少年 ネットオークションでジャンクを買う 仕掛け品の魅力 第15回 完成したとき味わえるものとは 作ったものが「完成」するのはいつ? 考え抜けば、作らなくても完成? 完成とは幻滅を伴うもの みんな、何を作っているのだろう? 第16回 思い出って、作るものなの? 「思い出」って何かな、と思い出してみる アリバイを買う人たち ドイツの街を夜歩いた思い出 しっかりと思い出せなくても良い 第17回 言葉を覚えて知ったつもりになる 固有名詞を記憶できない人 言葉で記憶すること フォーカスを合わせない捉え方 道はどこまでも続いている 第18回 「人間が描けている」という幻想 デビュー作は散々だった 文学というのは何を描くのか? 祭や儀式が普通の状況ではない 儀式はマニアックになりがち 第19回 「科学的に確かめられた」とは? 医者に「死にますよ」といわれたら? 薬を飲んだら治った、だけで効く薬といえるか? 科学的な検証には三つの方法がある 判断の基準となる証拠とは 人の意見、人の経験は、自分に当てはまるか? 第20回 褒めるか、叱るか、それが問題なの? 褒めても叱っても、人は育つ 世の中を褒める方法 褒めるか叱るかで、人はどう変わる? 褒めるも叱るも期待ゆえのこと 第21回 時流に逆らってクルマ談義でも 大人のクルマ離れ ドライブと整備が趣味 今は乗りたいクルマがない? 自動車は、何が「自動」なのか 第22回 メリハリのないシンプルな生き方 年末年始は何をしていたのか 休日も祝祭日もまったく同じ生活 メリハリのない生活を心がけている いたってシンプルな生活 第23回 知るとは、知らないを増やすこと 子供が楽しそうなのは何故か? 人や社会から離れて静かに暮らしていると…… 大人になることで失うものとは? 知らないから楽しい 第24回 「確率」で未来を評価すること 神様よりは信頼できる気がする 宝くじの不思議な確率 確率が低くなるほどリターンが大きい 保険も小説も確率で認識 第25回 書くこと作ること生きること 新作を書きました ついでに近況と今後の予定 作ることと生きることは同じ ものを作ることは孤独を楽しむ時間 第26回 働くことは「偉い」のか? 日本人に特有の二つの価値観 働く人が偉いというのは経済社会だから? 支配されたら、支配したくなる それでも戦争は続いている 第27回 考えない人間は葦である オートマティックトランスミッション 「野生」を失った人々 自由のために考える ようやく少し春めいてきたか 第28回 どんなものも元どおりには戻らない 一時的なものか、恒久的なものか? 歴史は繰り返さない 繰り返される騙し合い いろいろ作っているが、相変わらずである 第29回 暇だから「観察日記」みたいに書こう どうして選挙に行かない人が多いのか? どうして子供が減ってしまったのか? この際だから、やめた方が良いものを書いておこう 春なので、ガーデニングに忙しい毎日 第30回 ものを作るときに考えること 庭園鉄道の信号機システム 何を使って作るか、どう作るのか? 作ることに興味がなくても、なにか作っている 映像で考え、映像を残す 第31回 「頑張って」はいわない方が良い? 「頑張ってね」と気安くいえる人たち 「頑張るな」というアドバイス 「頑張る」の反対は、「余裕をもって」 暖かくなってきたので庭園鉄道の工事開始 第32回「視点」と「着眼」から生まれる「発想」 「頭が良い」とはどういう意味か? 「発想」とはどういう行為か? 「視点」を多く持つこと 一カ月かかった工事が終了 第33回 現代人の過剰な他者依存 自覚のない他者依存 他者依存の欠点は何か? 若者ほど他者依存性が強い ロングドライブのシーズン 第34回 若者はみんな「時間持ち」 お金持ちか、時間持ちか お金も時間もタダではない 時間によって生み出されるもの 草を刈って、犬のシャンプーをした 第35回言葉は言葉どおりではない 知りたいから尋ねているだけなのに 気持ちを察することが常識だとしても アドバイスをすると非難に受け取られる 屋外活動で肉体労働が増えている 第36回 期待どおりなんて、期待していない テレビのレポータほど無駄なものはない うんうんと頷きたいだけの視聴者か 思い知らせてやりたい症候群 短い夏もそろそろ終わり? 第37回「気持ち」って何? 感覚、感情、意見、意思? 「気持ちがわかる」とはどういう意味? 「気持ちが良い」ならわかる 一人でいるときが一番面白い 第38回 簡単な方法に縋って失敗する 簡単な方法ほど効果がない 「方法」があると信じてしまう 簡単にできることへの逃避 面倒なことがあるほど楽しめる 第39回 そんなことできるわけない症候群 「できる方法」しか聞き入れない 「変わるのは嫌だ」という固さ 「自分はこういうものだ」との思い込み 短い夏の次は、重労働の秋 第40回 理想の死に方 死に方は選べないという問題 理想的な死に方とは 死を語ることを忌み嫌う文化 虚しさと楽しさを同時に味わおう 静かに生きて考える/森博嗣 created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場 Yahooショッピング #森博嗣#評価5 プロフィール 本かつおXFacebookInstagramLINEContact「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。