読了

おくれ毛で風を切れ/古賀及子

本かつお
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●なぜ気になったか

本書のように「どうゆうこと?」と思わせられるタイトルの本は気になる。内容確認し過去作の評価みたら星5つが90%。これなら相性合わなくても納得できるので読んでみよう

●読了感想

なんなん、これ。なんとも不思議なエッセイ、子どもたちとのありふれた日常が、なぜこんなにも読まされるエッセイになるんだ。普通だったら飽きて途中挫折のはず。そうさせない表現力、すごい

アマゾンレビュー

●心に響いたフレーズ

  • (和菓子屋で)目当ての豆大福が目の前で売り切れたが、がっかりというよりも「そうでしょうそうでしょう」という気持ちだ
  • さみしさやみじめさを実感しながらも、これが被害を訴えてもいい、声を上げることが許される、いじめという状況なんだと脳でもって分類しきれない状態というのはわりあい普通にあることなんじゃないか
  • 周りの大人や学生さんたちはみな(小学生の息子を)あたたかく見守ってくれ、息子いわく「ファーブルが昆虫を見るときのようなやさしい目」だったそうだ
  • 大きな仕事が終わっても、生きているから次の朝がくる。人生が続くことは、心の準備をした大きな出来事が終わった翌朝に実感する
  • 朝ごはんを食べたあと娘にシュークリームあるよ、と言うと「えっ!?」と目が1ミリくらい縦に開いて急に真剣になったのがすごくよかった
  • 思えば、やれと誰かが言ってくれるというのはとても甘く優しい世界ともいえる
  • (小学生の)娘から給食の時間に「バレンタインは以前は女性が男性にチョコレートを渡して愛を告白する日でした」と放送が流れ、みんながざわざわしたという話を聞いた。(中略)、小学生にはもはや実感のない事実らしい
  • いい天気の日は、珍しいものでもないのに、こうしていちいち感動するのだから力がある
  • 物事に白黒をつけずやりすごすことは、最近になってようやく覚えた。便利だ
  • お金を払った結果疲労するのは、払った甲斐が可視化されたようで手ごたえがある
  • おたんこなすってそもそも何だ?
  • (郵便局の)なかをのぞくとATMは暗いなか鎮まっていた。(中略)、土曜のATMの営業時間が「9:00〜12:30」とあった。そんな個性的な営業時間でやっていたのか。時刻は12時50分
  • 「赤子の手をひねるよう」という慣用句を見るごとに、そんなことはできないなと思う
  • 弱ってる人とか行き詰まっている人に「がんばって」とは言えないけど、がんばってる人に「がんばって!」と言うのは、部活みたいでちょっといいなと最近思っている

●目次

  • 2019年2月~2020年12月
  • 2019年
    • 宇宙がすごい広いんだが
    • 車窓を見る人は黒目がカクカク動く
    • 「はい、論破」みたいに幸せを
    • 猫をさがしていそうな人たちだった
    • 燃えるごみよりも資源ごみのほうが多いでしゅよ
    • 情報は目でとまって頭にまで到達していなかった
    • 目の前で大福が売り切れて誇らしい
    • 悔しがるころは過ぎた
    • 「ねえ見て!」があるから人は連れ立ってどこかへ出かける
    • 全力で走りそしてふたりは出会った
    • 人間社会で成長することそのもの
    • まあまあ家
    • 気づかないまま傷つく
    • これからほっぺたをバンバンにふくらませる宣言
    • こういうものなんだからとだまっていた
    • 伝えたい豆知識があるんだ
    • 別れのメールをローマ字で書いた
    • 同じ家に同じ気持ちの人がいる
    • 腐りゆくのを見るのがいやで腐る前に捨てた
    • それは個人の感想だろう
    • 氷を揉み溶かしとがらせる
    • こっそり水道水を飲む
    • 背負ったネギが夕日を受けて輝く
       
  • 2020年
    • 私いまかなりドラえもんっぽいことになってないか
    • もしかして楽しかったの?
    • くれぐれも家を燃やさないように
    • カーっとした量のハンドクリーム
    • ここに真の卒業がある
    • よくない予感を共有する
    • 同じ家でも今度ははじまる
    • スポークが折れて感心感心
    • ポップコーンをはぜさせる人を離れたところから見る
    • 鳩サブレーを食べる自分の様子をふと思う
    • 感激して「優しい!」と冷やかす
    • 新しいカードに無を移行する
    • 気安い友人や家族だけが目撃する
    • ふんわりではなくふっくらしている顎
    • もしフィクションで描かれてなかったらどう思ったろう
    • 消費はむずかしい
    • 血管が動くのを見あう
    • 事情を誰かに話すときはいつも自信がない
    • 冷えた生卵を持ち続けて手がつめたい
    • 意識の私を無意識が急に起こす
    • 赤や緑や青が次々に色を変え光っている
    • テトリスでこんなに遊んでしまう
       
  • 2022年3月~2023年8月
  • 2022年
    • これだ漫才の起源
    • 有象無象のドーナツ
    • お菓子が配られているのではないか
    • 新入りバイトの態度で生きる
    • 13で割る!
    • 中2の景色
    • これはさては呪術だな
    • 「まあいいか」が「まあよくない」をチョイスする
    • 水漏れを飼う
    • ミロがなくなる
    • ふすまに海を
    • きっとうまい肉だ
    • 大人に連れていかれる
    • このまま無印良品に飲み込まれる
    • 悪口は味
    • 黒か紺か
    • そんな個性的な営業時間
    • 夜のとばりのようですね
    • このままはやく朝にしてしまいたい
    • わたしではないあなたたち
    • おれはひとりしかいないのに
    • 思考のあさましさに感じるハングリー精神
    • 無機物ばかりが登場する人生の走馬灯
    • わたしたちのアイコンタクト
    • ふりかけが大好きな人たち
       
  • 2023年
    • おくれ毛で風を切れ
    • 突然一生会わない人になる
    • 夢のもたつき
    • 布団をならべて夜ねむるよう
    • 楽しみにしている人がいると心強い
    • 家は家であり、家っぽいものでもある
    • 人間が自由だとよく知っている
    • 孤独な意地汚いお祭り
    • 抜けも飛びも刺さりもしない
    • きみの名前を知ることそのもの
    • ひとつの世界の終わり
    • まんじゅうにどこまでも盛り上がってしまう
    • 小枠も小枠な生き方の多く
    • 手のひらで光ってはじける塊の時間
    • いちばん大きな音のカッター
    • 本気の餓鬼でもなかったようで
    • 尊び信じて優しく
    • 弁当の責任と関心
    • 今日は一緒に行けてよかった
    • 現実だったらあんまりだ
    • 畏れることない不公平感
    • バレエと敬礼
       
  • あとがき

プロフィール
本かつお
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。
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