本かつお
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●なぜ気になったか
生まれ故郷釜石が被災した「東日本大震災」は、早期退職につながるほどの衝撃的出来事だった。『福島モノローグ』に続く本書、ここに記録された当事者の独白、読みたい
●読了感想
一部の当事者の語りから、十年以上経つのに表面的なことしか知ることができていなかった、と思わせられた。今もなお、被災した家を修理できずに住み続けるしかない人がいることに心が傷んだ
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- 自分の体験はただ持ってるだけじゃ、ただの経験談だ。それを人に話して意味を持つ、人の役に立つ
- 当たり前って、自分がもっと大切に出来たものだし、大切にしてなかったなって、すごく後悔してて。そういう後悔っていうのを他の人に味わってもらいたくないな
- (津波が来てすっかり水没した閖上の)火葬場の炉を私たちは二週間で復旧したんです。四つあるうちの二つを。 (中略)そこで火葬が再開しました
- 火葬場に運ばれてくる遺体が誰か、知ってるんですよ。親戚、友人らほとんど全部が知り合い。(中略)、みんな知ってる人間なんだから。本当、つらかった
- やってるのはすべて「キワ除染」なんです。復興拠点を造るための、そのアクセスのための道の除染です。もとの住民が住む場所は除染していないんですよ
- 三月十一日の揺れっていうのは三分間から、建物とか地盤の状態によっては五分間ぐらい続いて、その間に強い揺れが三回
- (被災三県のうち、岩手県洋野町)では人的な被害が一件も出なかった。なぜそんな防災が可能だったのか。ここの町民は、とにかく逃げる意識が高いんですよ。(中略)、明治と昭和の三陸大津波で、居住人口の半分くらいが亡くなっていますから
- こういう時に私まで泣いちゃったらもう絶対に(家族)心中とかまでiっちゃうんだろうなと思った。それで私は極力、みんなの前で泣かないようにしようと思ってました
- 震災の前はお墓はなんか怖かったけれど、今はどんなに暗くなってからでも、夜が明ける前でも、家族がいるって思えばなんともないです。仕事が終わってから、どんな夜でもお墓掃除に行きます
- 被害から十一年以上にもなって、まだ「在宅被災者」ってものが残っていることが伝わってないのよ。(中略)、今、約百二十世帯が石巻でいるの。壊れた家で今も生活している
- 震災から十年以上、あの時のまんまなのさ。そのまんまで今も暮らしてるわけ。あちこちの隙間には全部ガムテープしてね。柱が腐って虫がぼんぼん出てきて、テープを貼って虫が来ねえようにしている
- (新聞記者として、被災した)社会を少しでもいい状態にしたいと思って、記事を書いてきたつもりでいたんですけど、そういう課題っていうのはなかなか、世の中の人が知ったから改善されるというわけでもない複雑な課題
●目次
- まえがき
- 宮城 a speaker 2021年
- 宮城 an undertaker 2021年
- 福島 a farmer 2021年
- 宮城 a publisher 2021年
- 岩手 an adviser 2021年
- 山形 neighbors 2021年
- 宮城 a family 2021年
- 宮城 an announcer 2022年
- 宮城 a fireman 2022年
- 福島 booksellers 2022年
- 宮城 a man at home 2022年
- 岩手 a volunteer 2022年
- 宮城 a folk tale listener 2022年
- 福島 a folklorist 2023年
- 東京 a journalist 2023年
- あとがき
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。