本かつお
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●なぜ気になったか
著者が生み出す表現はとても個性的でとても気になる存在。そんな著者が「個性」を「正直」に「論じた」となると、読まずにはいられない。いったいどんな思いもしない表現が生み出されていて、自分がどう感じるかを楽しみたい
●読了感想
やっぱりいいなぁ、水野しずさん。一般枠に収まらない考えや表現だけど、ほとんど本質的には賛同できたり楽しめたりできる。そして、それが僕の感性を心地よく刺激してくれることで、自分の思考が広がる感じにさせられる。次の本が楽しみ
アマゾンレビュー
●心に響いたフレーズ
- ビジネスライクな個性論を撲滅、壊滅、衰退、滅亡せしめんがためにこの本を書いている
- 「好きなことで生きていく」というコピーは2014年から不定期に行われたYouTubeの広告キャンペーン。(中略)、これは、裏を返せば、「好きでもないことで生きているあなたってって、一体なんですか?」という脅迫
- 2000年〜2010年ごろは、円周率が「3」というセンセーションナルな見出しで口火を切った「ゆとり文化」が大いに花開いた時代です。(中略)、「個性」という言葉に多くのドリームフレーバーが投入されていったのは、主にこのあたりの空気や文化だと筆者は考えています
- 「ナンバーワンにならなくていい、オンリーワンになれだぁ? ふざけるな」「オンリーワンっていうのは、その分野のエキスパート、ナンバーワンのことだろうが」
- 「あなたは生まれてきただけで掛け替えのない素晴らしい人間」というメッセージは、確かに親や養育者にとってはそうなんですけど、世の中的には残念ですが、そうではあり得ません。悲しいことですが替えはいくらでもあります
- キラキラネームはゆとり教育や平成の経済の停滞に伴ってより顕著に見られるようになりました。努力や利他性では個性を発揮できない平成生まれチルドレンの親にとっては、子供が生まれた時点で特別な才能や商品価値を備えた選ばれしものである必要があったからでしょう
- 近年ではSNSがインフラのように機能している為に従来的な形で「個性」を示すことができなくなった。(中略)、(SNSに掲載されたら一瞬のうちにコピー&ペーストされて普遍的になる)背景があるのに唯一無二の個性が自分の中のどこかに存在しているからそれを今からレッツ探そうと考えられる方がどちらかと言えばポジティブすぎて頭がおかしいような感じがします
- 個性とは(おでんの具ではなく)「だし汁」のことです。だし汁というか、だし汁がよく染みた大根やはんぺんにしみじみ感じる「あじわい」こそが髄です
- 傍からキラキラして見える人ほど泥水にまみれまくっているのが世の実情
- 個性を発揮して生きていきたい場合、そのために必要なことは、オリジナリティーのアピールではなく、人があまりやりたがらないことを真面目にやる誠意とか根気です
- 個人の経験と強く紐づいてくっきりと浮かび上がってくる平凡さにはパワーがある
- 株式会社ZOZOを起業したことで知られる前澤友作氏は「月に行く」という自分物語を発信していましたが、個人的にはだからなんなのだろうと思います
- わざわざ「共感」という言葉が用いられるとき、その背後にはなにかしら不自然な意図が潜んでいる場合が多いのではないかと思うのです
- (表現において)、技術力が高ければ高いほどできることの幅は広がりますが、だからと言って技術力のみが伝わる作品は概ね駄作。 (中略)、最も重要なものは、技術でも個性でもなく「こだわり」
- 心の負債を抱えていると、ご飯がおいしいとか光が嬉しいだとか、そういったささやかな幸せを噛み締めることができなくなります
- 何もかも完全に納得がいくように生きていくのは世間の都合上困難です。だから、やむなく納得のいかない仕組みとか、決まりとかを合理化していく必要に迫られるのが人生の常
- 私にとって関わっていて楽しい尊敬できる人間の特徴を一言で申し上げるとこうです。「自分の心にとって意味のあることをやっている人」
- 熱意には「旬」がある
- もう何も心が動かなくなっている野望は、今から手を出す可能性もかなり低いので思い切って全部捨てましょう。(中略)、心の負債を整理するとすごく気分が爽快になります
- どのような道を選んだにせよ、その中でやること、やらないことを選択して手放していく過程は絶対に必要
- やりたいことがある場合、諦めなければいけません。何を諦めるのかというと、自分にとってどうでもいいことです。(中略)、少し興味があることの中からわざわざ自分がやらなくてもいいことを発見して排除することで集中すべき対象を明確にしていくことが実は肝心
- 考え続けなければならない、問題視されている、一人一人が問題意識を持つことが大切だ、などが、高校生の小論文の頻出ワードです。何か考えている雰囲気を演出しているので何も考えていない人の中では賢そうな感じにも見えますが、一方で自分自身の問題意識を持って真面目に考えたり行動をしている人からは何も考えていないのがどう見てもバレバレ
- 社会一般は自分の心や主体感覚がないように振る舞った方が明らかに生きやすい
- 素直に自分がやりたいことをやっていると個性的な人間になります。(中略)、本当にやりたくてやっている場合はそれが周囲の人間にもバレますし、素直にやりたいことをやっている人物は全身からいいムードがでるのでどこにいっても歓迎されます
- 映画も本も漫画も、観ることや読むこと自体を目的化せず、好きに味わっているくらいの方が、結果的に得るものが多いのではないかと思います
- 「嫌い」という感情は自分と対象の関係を把握するために見逃してはならないヒントだと思う
- 雑談が苦手で困っている人は大抵、ファジーに投げかけられた言葉を無責任に受け取る行為が苦手、という誠実な方が多い
- 【質問】「自分らしさ」がわかりません。どうやって見つければいいでしょうか。【答え】出そうとすると失われるのが自分らしさで。(中略)、自分の「らしさ」を感じるのは常に他者である
●目次
- 序文(今から常識では考えられないほど正直な個性の話をします)
- <第一章>「個性」
- 「好きなことで生きていく」という脅迫
- 鬼滅の刃はなぜあんなにヒットしたのか
- <第二章> 個性=平凡
- それでも個性が欲しい!
- 共感という誤解
- 個性とうまさ
- <第三章> 正直
- 心の負債総額算出方法
- 「俺はいいけど、矢沢はどうかな?」現象
- 〈巻末付錄〉
- 面白さの判断 〜心の隠蔽テクニックを分析してアプローチする、主体性回復マニュアル〜
- 個性ではないもの一覧表
- 「正直個性論」Q&Aコーナー
- 〈おわりに〉私の魂が一人しかいられないと彼方から呼ぶ声のほうへ
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。