本かつお
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●なぜ気になったか
人づきあいが苦手な僕は、孤立は嫌だけど「ひとりの時間」の孤独は好き。好きな作家さんもそれなり含まれた、44名もの執筆者による孤独についてのエッセイアンソロジー。それぞれの孤独との向き合いを知り、感性が合う作家さんをみつけて著作を読みたい
●読了感想
今の僕が共感できる、できない、色々な孤独が収められていた。孤独の捉え方の変化に気づくため、定期的に読むのもいいかもと思った。宇宙で一年間一人でも大丈夫と豪語していた宮内悠介さんを、劇的に変化させた奥さまがどんな方なのかとても興味がわいた
●心に響いたフレーズ
- 現代では、孤独は肥満よりも人を殺す、そう言われている
- 孤独とさみしさは違う。孤独だからさみしいわけではない
- 元々社交的な性格ではないので、人と合わず話もしないことが大きな苦痛にはならなかった。正直に言うと、少しのさみしさを上回る短絡的な快適ささえあった。けれど、その中に孤独がなかったかというと、やはりあった。小説が書けないことだった
- 施設にいる私が孤独を感じる時間は、同じ部屋にいる妻がちょいとコンビニまで買い物に行った時くらいであろうか。親しい編集者が来ても、嫁や義弟が来ても、孤独が和らいだとか、その前後の孤独の時間が強調されたとは思わない
- 孤独を求める自分もいます。外で誰かと会ったあとは、(中略)、意識していなくても、相手や環境に自分を適応させようとしすぎているのです。そんなふうに形を変えた自分を、いったん元に戻してあげられるのが、孤独の時間
- 「孤立しているわけではないけど孤独である」ということは、ときにどうしようもなく寂しいことでもあるけれど、また明日、他者の隣にいられるために必要な時間
- (人間は)、集団化が過ぎた故に自己と他者を比較して相対的な価値を見出すための競争に躍起になってしまい「個は個である」という当たり前に存在する価値を見失い、恐れ慄き、時に病む
- 昔から一人の時間が好きだった。(中略)、一人の時間が多いほど、一生を通じてより多くを学び、より多くの創作物を残せると考えていた。そもそも人づきあいが下手で一人でいるのが楽だった
- このごろは人と会う時間を大事にしている。あいかわらず雑談はうまくできない。話題を提供するのも下手だ。でも別に上手である必要はない。他者との時間があればそれでいい。そう思うようになったからこそ、孤独の時間が前以上に光って見えもする
- 私には、ひとりでただぼうっとする時間が、たくさん必要である。(中略)、さびしがりやだが、ひとりの時間や空間がないと、苦しくてたまらない。(中略)、ひとりの時間は、とても豊かな時間である
- 孤独といっても、深刻なものから気楽なものまで様々だと思うが、満たされた孤独について教えてくれるのは、いつも書物という存在だった。(中略)、一人になって読書をする時間の充足感は、何ものにも代えがたい
- 私にとって孤独な時間は喜びであり、私自身が何にも溶けることなくここに存在していることを実感できるかけがえのないものです。友達はいるけどそういうことじゃない
●目次
- 共感と散歩 麻布競馬場
- ぼっちな指揮者のつぶやき 阿部加奈子
- やわらかな輪郭のなかで、孤独は踊る 一川華
- TKを聴きながら 一穂ミチ
- ずっとみていて。 伊藤亜和
- 孤独やその他 井戸川射子
- 孤独からさみしさだけを引き算する 稲垣諭
- バーガンディ・スパークリングワインのように泡立つ孤独 イリナ・グリゴレ
- 十分間の 岩内章太郎
- ひとりの時間 上野千鶴子
- 選択 加納愛子
- 互いの物語に登場すること 上出遼平
- 孤独と眠り qp
- 憧れの孤独 くどうれいん
- 孤独の行方 五味太郎
- 毛布と抜けがら 紗倉まな
- 孤独の表裏 塩田武士
- まな板のかえす音 下西風澄
- 頭の中がずっと静かだった 高瀬隼子
- わからなくて怖い 滝口悠生
- 無表情で乱れ打ち 武田砂鉄
- それがどれほどの孤独であろうとも 武塙麻衣子
- あなたに友だちがいない理由 橘玲
- nunc /ヌンク 崔実
- AIと孤独 千葉雅也
- 九十年の孤独 筒井康隆
- ひとりじゃないけどひとり 中島梓織
- 孤独の扇動 奈倉有里
- 精神分析家の孤独の時間 西見奈子
- ひとひとりぶん、夜の道 のもとしゅうへい
- 風後の灯火 乗代雄介
- 孤独の克服 東出昌大
- 透明 平岡直子
- 寂しさあってこその孤独 平野啓一郎
- 後悔 僕のマリ
- 立札ほどの高さにあるもの 堀江敏幸
- 孤独 ーその二つの貌ー 皆川博子
- 孤独との邂逅 宮内悠介
- 「自分との打ち合わせ」と「自分との待ち合わせ」 宮地尚子
- 九時間九分 燃え殻
- ユーコンの森の罠猟師 山口未花子
- 孤雲山本アマネ
- 一人韓国ハッピーニューイヤー 山本奈衣瑠
- 誰も見てないものを誰にも言わずに見てる ゆっきゅん
プロフィール
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。