読了

しなくていい介護/旦木瑞穂

本かつお
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●なぜ気になったか

僕と妻の両親4人はすでに他界し親の介護は必要ない状況。自分たちの介護経験を振り返ると、可能な限り、子どもたちに負担をかけないようにしたいと心から思う。僕にとって本書は「させなくていい介護」というタイトル。読んで今から準備していこう

●読了感想

親の介護と遺品整理はいつかは必ず来ること。すでに夫婦両家両親を看取ったが、その前に読んでおきたかった。そうすれば「前もってやっておけばよかった」「なんでこんなに融通効かない決まりなの?」などと思ったことが激減していたはず。介護の良書

アマゾンレビュー

●心に響いたフレーズ

  • 介護はもっと楽にしていいのではないか?
  • ケアプラン(介護サービス計画書)を作るケアマネさんよりも、実際に介護をしてくれるヘルパーさんの意見と知識のほうが、私には重要だった
  • 介護は突然始まるものなので、早めに備えておいて無駄になることはない
  • 親が元気なうちに確認しておくべき最重要事項
    • ・預貯金額などの確認(金融機関名・カードの有無・通帳や印鑑類の保管場所)
    • ・月々の年金額
    • ・身分証明書類(保険証、マイナンバーカード、運転免許証)などの保管場所
    • ・年金手帳や年金証書、医療機関等の診察券、後期高齢者医療被保険者証(後期高齢者のみ)
    • ・療育手帳や身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳などの保管場所
    • ・株式や投資信託などの有無や書類の保管場所
    • ・不動産の種類や有無、書類の保管場所
    • ・ローンや負債の有無と金額、書類の保管場所
    • ・民間医療保険や生命保険の有無と保険証券の保管場所
  • 在宅か施設か、親の介護についてのイメージを擦り合わせる
  • 延命治療をするかしないか、看取りについてのイメージについてのイメージを擦り合わせる
  • (認知症の母親の介護で)何度も経験してわかりましたが、こんな(家を飛び出して行ってしまう)時は追いかけても絶対的に無駄で、むしろ逆効果でしかありません。(中略)、放っておくしかなく、むしろ警察が保護してくれたらありがたいくらい
  • 子どもにあれこれ口を出されるのが気に食わない親もいる。だからあえて距離を置き、親が現実を思い知り、困って「助けてほしい」と言ってくるまで様子を見る
  • 辛いことから身を守るために、人はボケるのかもしれません
  • (介護をした)母のおかげで人生は無限ではなく、毎年、毎日、次が巡ってくるわけではないことを学ぶことができました。今、家族を介護している人は、自分の納得と、時間的、経済的なバランスをとりながら、自分や家族を大切にしてください
  • 突然親の介護が始まると、実質的な身体介助だけでなく、慣れない手続きや対応に追われ、時間の大半を親に奪われると言っても過言ではないだろう
  • 介護で苦しむ人は、社会から孤立し、情報が断絶してしまう状況に陥っているケースが少なくない。「迷惑をかけていると思うと後ろめたい」などとは絶対に思わないこと
  • 法定制度である介護休暇制度①介護休暇、②介護休業、③介護休業球菌、短時間勤務等の措置
  • 必ずしも子どもは、親(の介護)に経済的援助する義務はない
  • 親の銀行口座の暗証番号を知らない子どもが、親の預金を引き出すことは容易ではない。通帳と印鑑があっても委任状がなければ難しく、親が委任状を書けない状態の場合はお手上げだ
  • (親の銀行口座の登録印がわからない場合は)、払い戻し請求書を使って、お持ちの通帳から千円札を引き出す申請をしてみてください。書類に押印欄があるので、印鑑が正しければ引き出せます
  • 親の介護のために子どもが犠牲になることはないし、そんなことは絶対にあってはならない。親に衰えが見られ始めた時、子どもは親よりも自分の家族や仕事、自分の人生を優先することを念頭において、親と向き合って欲しい
  • 「面倒臭い遺品整理」をしなくて済むように、(生前整理で)、〝その時〟に備えよう
  • 「生前整理」の手順
    • ①「物・心・情報」に分ける
    • ②「物」を「要る・要らない・迷い・移動」の4つに分類する
    • ③「心」は思い出の整理。「マイベストショットアルバム」を作る
    • ④「情報」は万が一への備え。「万が一ファイル」を作る
  • 要る・要らないを8秒迷ったら、一旦「迷い」に入れておき、半年の期限を決めて再度判断すると良い
  • 「万が一ファイル」は、自分に万が一のことがあったときに備えて、遺された家族のために、銀行の通帳や保険証、介護や葬儀の希望、連絡してほしい相手先などをひとまとめにしておくファイル
  • 通夜・葬儀で最も優先すべきことは、(中略)、「遺された人が後悔のないようにすること」
  • 大切な人を偲ぶ方法は、「通夜・葬儀」でも、「お別れ会」でも構わない。(中略)、自分のために「大切な人を弔い偲ぶこと」ができるなら、型通りの「通夜・葬儀」は〝しなくていい〟
  • 埋葬の種類と総額の平均
    • ①一般墓 149.5万円
    • ②樹木葬 63.7万円
    • ③納骨堂 80.3万円
  • 「手元供養」とは、故人の遺骨の一部を自宅や身近な場所に保管、もしくは身につけ、供養する方法

●目次

  • はじめに
     
  • 第1章 “しなくていい”帰省
    • 事例1 澤田さんの事例
    • 最限の帰省にするためにやるべきこと
      • ①まずは介護の第一歩を踏み出そう
      • ②親を観察しよう
      • ③親の財産を把握しよう
      • ④他の家族と情報を共有しよう
    • 事例1 澤田さんの事例を振り返って
    • 1章のまとめ
       
  • 第2章 ”しなくていい”同居
    • 事例2 田村さんの事例
    • 同居しなくていい介護の進め方
      • ①一人暮らしができるレベル
      • ②一人暮らしが不安なレベル
        • (1)要介護認定を申請する
        • (2)訪問調査
        • (3)ケアプランを作る
        • (4)介護サービスを受ける
      • 「呼び寄せ介護」の進め方
      • ①呼び寄せるための住まいを探す
      • ②生活基盤や介護体制を整える
      • ③住んでいた家を片付ける
    • 納得のプロセス
    • 事例2 田村さんの事例を振り返って
    • 2章のまとめ
       
  • 第3章 “しなくていい”離職
    • 事例3 三井さんの事例
    • 離職しなくていい介護の進め方
      • ①会社の制度を知ろう
        • (1)介護補助金サービス
        • (2)介護用品の購入費助成、割引サービス
        • (3)家事代行補助金
        • (4)共済会
      • ②法定制度である介護休業制度を知ろう
        • (1)介護休暇
        • (2)介護休業
        • (3)介護休業給付金
        • (4)短時間勤務等の措置
    • 事例3 三井さんの介護を振り返って
    • 3章のまとめ
       
  • 第4章 “しなくていい”経済援助
    • 事例4 高蔵さんの事例
    • 経済的援助をしなくていい介護の進め方
      • ①第1章「”しなくていい”帰省」をおさらいする
      • ②「親の介護費用は親が出す」を徹底しよう
        • (1)交通費
        • (2)謝金
        • (3)預かり金
        • (4)贈与税の基礎控除
        • (5)代理人キャッシュカード
      • ③100歳まで生きるとして計算する
        • (1)親の介護に使えるお金
        • (2)2人の親を介護する場合
      • ④お金を払いすぎないための情報を獲りに行こう
        • (1)「扶養親族等申告書」
        • (2)「寡婦(夫)控除」
        • (3)「障害者控除」
        • (4)同居でも「世帯分離」
        • (5)「老人扶養控除」
        • (6)健康保険の扶養
        • (7)「後期高齢者医療保険証」
        • (8)「高額医療費制度」
        • (9)「高額介護サービス費」
        • (10)「高額医療・高額介護合算療養費制度」
        • (11)紙オムツ代
        • (12)「生活困窮者などに対する負担軽減事業」
      • ⑤介護に必要なものをお得に揃える
    • 親に資産がない場合
      • ①生活福祉資金貸付制度
      • ②生活保護制度
    • 事例4 高蔵さんの介護を振り返って
    • 4章のまとめ
       
  • 第5章 “しなくていい”遺品整理
    • 事例5-1 櫻木さんの事例
    • 事例5-2 相川さんの事例
    • 「面倒臭い遺品整理」をしないために
      • ①”その時”は突然やってくる
      • ②「遺品整理」と「生前整理」
      • ③「生前整理」のメリット
      • ④「生前整理」の手順
        • (1)「生前整理」は「物・心・情報」の順に
        • (2)「心」の整理
        • (3)「情報」の整理
        • (4)「デジタル資産」の整理
      • ⑤「生前整理」を楽しむ方法
        • (1)写真の「生前整理」
        • (2)価値のわかる人に託したい
      • ⑥「生前整理」はいいこと尽くし
    • 事例5-1 櫻木さんの事例を振り返って
    • 事例5-2 相川さんの事例を振り返って
    • 5章のまとめ
       
  • 第6章 “しなくていい”通夜・葬儀、埋葬
    • 事例6 春日さんの事例
    • しなくていい通夜・葬儀
      • ①通夜・葬儀とは
        • (1)通夜
        • (2)葬儀
      • ②葬儀の種類
      • ③「一般葬」が減った理由
      • ④葬儀の縮小化・簡素化によるメリットとデメリット
      • ⑤大切なのは故人を偲ぶこと
    • しなくていい埋葬
      • ①埋葬とは
      • ②埋葬の種類
      • ③お墓の主流の推移
      • ④「一般墓」が減った理由
      • ⑤墓じまい
      • ⑥手元供養
        • (1)遺骨をダイヤモンドに
        • (2)遺骨を真珠に
      • ⑦大切なのは故人を偲ぶ場所と機会
      • ⑧しなくていい通夜・葬儀、埋葬
    • 事例6 春日さんの事例を振り返って
    • 6章のまとめ
       
  • 第7章 “しなくていい”後悔
    • 事例7 山車さんの事例
    • 「後悔しない介護」
      • ①「第1章 ”しなくていい”帰省」の重要性
        • (1)まずは介護の第一歩を踏み出そう
        • (2)他の家族と情報を共有しよう
      • ②延命治療
        • (1)「リビング・ウィル」
        • (2)「私の希望表明書」
        • (3)人生会議(アドバンス・ケア・プランニング<ACP>)
      • ③「どう死にたいか」を共有する
      • ④人生の主導権
    • 重要なのは「納得のプロセス」
    • 事例7 山車さんの事例を振り返って
    • 7章のまとめ
       
  • おわりに

プロフィール
本かつお
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。
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