読了

文体のひみつ/三宅香帆

本かつお
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●なぜ気になったか

2019年出版の『バズる文章教室』の加筆修正本。2024年のブレイクで知った文芸評論家さんだが、結構追っかけをしてポッドキャスト、youtube、メディア出演を楽しませてもらっている。ここ最近出版ラッシュだけど、本作含め三宅香帆沼を楽しみたい

●読了感想

すごいなぁ、よくぞこんなに書いた人やその作品特有の書き方を分析できるもんだ、と感心した。読書後に、「深みがなく面白くなかった」と思うことが時々あるが、「深み」を感じられなかったのはなぜ?、という疑問の答えを教えてもらえたのは最大の収穫

アマゾンレビュー

●心に響いたフレーズ

  • 文体とは、その人やその作品特有の書き方のこと
  • もしも文章が長くなってしまって、「肝心の情報が伝わりにくいかな」と心配になったときは、一度、できる限り体験言止めにしてみることをおすすめします
  • 接続詞が多くなればなるほど、文章はだんだん〝鈍くさく〟なる
  • 読点が多いほど、テンポが落ちるだけでなく、親身になって話してくれているように読める。(中略)、反対に、読点が少ないほどテンポが速まって、一方的に報告を受けているような印象を持ちます
  • 動詞は、その人の生きる姿勢に投影されやすい。(中略)、自分のスイッチになる「動詞」をたくさん持っている人は、自分のからだをベースにして心地よく生きる術を知っている人だ
  • 個人的な話も、抽象度をあげることで広く共感を得られる
  • 本筋とは直接関係ないけど、関係ありそうな気もする、ちょっと気になる一文。こういった余白の文は、料理に入れるひとさじのスパイスとなります。つまり、文章全体に深みが増す

●目次

  • はじめに
     
  • Chapter1 惹きつける文体
    • 良心的釣りモデル しいたけ。の誘引力最初に
      • 意味不明な言葉を放り込む。
    • 未解決疑問モデル 星野源の未熟力
      • 問いを共有する。
    • 質問一般化モデル 佐々木俊尚の身近力
      • 徐々に話の花を開かせる。
    • 嵐の前モデル 村田喜代子の展開力
      • 日常から非日常に展開させる。
    • 時制変更モデル 森島外の寄添力
      • 最初にしつこく「これは記憶」と伝える。
    • 対にしてみるモデル 北原白秋の配合力
      • ふたつのものを並べて始める。
    • 炎上回避モデル 山崎ナオコーラの冒険力
      • あらかじめ自分を当時者から外す。
         
  • Chapter2 先を読みたくなる文体
    • 5音9音ぶつ切りモデル 村上春欄の音感力
      • 読みたくなるリズムを使う。
    • 曖昧共感モデル かっぴーの弱気力
      • 曖昧さを残す。
    • 会話割り込みモデル 林真理子の強調力
      • カギカッコの中でお芝居をする。
    • 名詞止めモデル 綿矢りさの簡潔力
      • 語尾をぶった切る。
    • 過剰口語モデル 三浦しをんの台詞力
      • 口語をより口語らしくする。
    • 仮名8割モデル 向田邦子の柔和力
      • ひらがなで印象を変える。
    • 硬質筆致モデル 井上都の冷静力
      • 感情を見せない。
    • 接続詞省略モデル 恩田陸の快速力
      • つなぎ言葉を隠す。
    • 壁ドンモデル 橋本治の豹変力
      • 突然、口語になる。
    • 人柄調節モデル 上橋菜穂子の親身力
      • 読点でテンポを操る。
    • フィルターモデル 永麻理の代弁力
      • 身近な人のエピソードを使う。
    • ゆっくり語りモデル 開高健の実直力
      • 思いを、不器用に、全部並べる。
    • 映像記録モデル 司馬遼太郎の撮影力
      • カメラだけで書く。
    • 対照的造語モデル 三島由紀夫の対比力
      • でこぼこする言葉を使う。
    • 主観バリバリモデル 谷崎潤一郎の気分力
      • 「どう感じているか」をくっつける。
    • ヨガ文モデル 紫原明子の息継力
      • 段落で、呼吸を超える。
         
  • Chapter3 説得力を生む文体
    • 妄想上昇モデル 秋元康の裏切力
      • オチでひっくりかえす。
    • 結末省略モデル 江戸小噺の小粋力
      • あえて、みなまで言わない。
    • 同意先行モデル 高田明の視点力
      • 「あるある」から話し始める。
    • 倒叙ミステリーモデル さくらももこの配慮力
      • 真相を先に書いてしまう。
    • フォロー先行モデル こんまり®の豪語力
      • アンチに対するフォローを入れておく。
    • 主張進化モデル 齋藤孝の更新力
      • 言いたいことを、言い換える。
    • 配役固定モデル 上野千鶴子の一貫力
      • 言いたいことのセンターを決める。
    • 譲歩逆説モデル 塩谷舞の先読力
      • 今までの考えを、自分でくつがえず。
    • 感情一般化モデル 有川ひろの共感力
      • 「百人中百人の同意見」を挟む。
    • 長調短調モデル 藤崎彩織の旋律力
      • 心の流れをスイッチする。
    • 擬人化代弁モデル 武田砂鉄の錬金力
      • 向こうサイドに感情移入する。
    • 重ね合わせモデル 山極寿一の置換力
      • 特殊な経験を、一般的な経験とだぶらせる。
    • 永世中立モデル 岸政彦の中立力
      • 縞麗事と現実を、交互に出す。
    • 元の木阿弥モデル 日本人の悲哀力
      • 理想から現実に引き戻す。
    • 段階的説明モデル 瀧本哲史の要約力
      • 徐々に連想させる。
    • サンドイッチモデル 堺雅人のスライド力
      • 根拠の前後を、言いたいことで挟む。
         
  • Chapter4 記憶に残る文体
    • 片仮名強調モデル 俵万智の合図力
      • カタカナで注目させる。
    • 共通言語投入モモデル 松井玲奈の国民力
      • 万人に通用する例を出す。
    • 意味拡大モデル J・K・ローリングの超訳力
      • 「引用言葉」を拡大解釈する。
    • 虚構現実往復モデル 阿川佐和子の声掛け力
      • 突然、読み手に話しかける。
    • 過剰造語モデル 宮藤官九郎の激化力
      • 盛りまくる。
    • 一文はずしモデル 吉本ばななの意味深力
      • ふと、話をずらす。
    • 二人称語りかけモデル 山田ズーニーの一対一力
      • 当事者意識を持たせる。
    • 余韻増幅モデル 岡本かの子の言い残し力
      • 最後の一文を、情景描写で締める。
    • 違和感モデル ナンシー関の誉告力
      • 評価と感情を分ける。
    • 白い肌雪の肌モデル ビジネス書の隠喩力
      • 大人語を「子ども」の気持ちで言い換える。
    • 緊張と緩和モデル 又吉直樹のかぶせ力
      • 「真面目」と「脱力」を組み合わせる。
    • 言葉遊びモデル 清少納言の音合わせ力
      • 似た音でそろえる。
    • 重ね合わせモデル 加藤シゲアキの回想力
      • 出来事に代弁させる。

プロフィール
本かつお
「観る読む歩く、釣る食べる、求められれば写真撮る」そんなマイペースな人生を淡々と・・・。
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